法人登記
法人登記
法人登記とは、法人の組織内容、代表権の有無・範囲等を公示し、第三者にこれを知る機会を与えることにより、取引の安全と迅速を図ることを目的とした制度です。このため、登記事項が発生したときは、その旨を登記することが義務付けられており、また登記を怠った場合についての罰則が定められています。
法人登記の対象となる法人は二百数十あり、全ての法人に、法人の成立を認める根拠法及び登記手続きを定めた登記手続法令があります。登記事項は各法人法に規定されており、その変更等につき主務官庁の認可を必要とする事項もあります。
資産変更
事業年度終了後、事業年度末日現在の金額等で、総会等による決算承認があり確定したものを登記します。事業年度の途中で変動があっても、その度に変更の登記をする必要はなく、1事業年度ごとに登記すれば足ります。
- 「資産の総額」が登記事項の法人(社団法人・財団法人・医療法人・社会福祉法人・NPO法人など)
事業年度末日現在の正味財産(積極財産から消極財産を控除した金額)を登記します。 - 「払い込んだ出資の総額」が登記事項の法人(生活協同組合・事業協同組合等の各種協同組合など)
事業年度末日現在の「出資の総口数」「払い込んだ出資の総額」を登記します。
役員変更
理事・理事長・代表理事等の法人役員につき、就任・重任・辞任・死亡・任期満了等の事由が発生した場合、その旨の登記をします。通常、役員には任期が定められているので、役員の任期が満了するごとに変更の登記をすることになります。役員全員が再任する場合であっても登記する必要があります。なお、各法人の登記事項によりますが、役員の変更があったとしても、その役員が登記事項でない場合は登記手続は必要ありません。
目的・名称・事務所移転
定款・寄附行為等(以下、「定款等」という)の記載事項であって、登記事項でもある事項(名称・目的等、主たる事務所、公告をする方法など)を変更する場合、定款等変更のための所定の手続をふみ、主務官庁の認可を受け、変更した旨を登記することになります。認可は定款等変更の効力発生要件になっておりますので、変更日が認可を受けた日となります。
医療法人
医療法人は、医療法に基づいて、病院及び診療所又は介護老人保健施設を開設する目的で設立される法人です。(医療法39条) 医療法人には、社員が主体となる社団法人と設立者によって提供された財産が主体となる財団法人とがあり、社団法人は持分の定めのある社団法人と持分の定めのない社団法人に分類されます。
持分の定めのある社団法人は残余財産が出資者に返還される社団法人や返還を受けられる額は出資額が上限とされる出資額限度法人があります。持分の定めのない社団法人には拠出額を限度として基金が返還される基金拠出型医療法人があります。
平成19年4月1日の第5次医療法改正により医療法人制度の見直しが行われ、医療法人の非営利性の徹底、運営の透明性の確保が図られました。 この改正により、持分の定めのある社団法人は設立できなくなりました。平成19年4月1日以降に設立する医療法人は、原則として基金拠出型医療法人になります。
それ以前に設立された持分の定めのある医療法人は経過措置により当面の間存続します。また、社会医療法人制度が創設され、財団法人や持分の定めのない社団法人のうち、一定の条件を備えていれば、公益性の高い社会医療法人となることができます。旧医療法の公益性の高い特別医療法人は平成24年3月まで現行のまま存続します。
税務上、一定の公益性の高い医療法人については、法人税の低減税率が適用できる特例があり、この特例を受ける医療法人は、特定医療法人になります。 これら医療法人の形態によって、設立手続、運営方法、解散事由及び残余財産の処分方法等に差異があります。
医療法人は、設立者が定款又は寄付行為を作成し、都道府県知事の設立の認可を受けなければなりません。そして、設立の登記をすることによって始めて成立し、法人格を取得することになりますので、登記の申請が必要になります。
医療法人に必要な登記事項は次の通りです。
- 目的び業務
- 名称
- 事務所
- 代表権を有する者の氏名、住所及び資格
- 資産の総額
これらに変更が生じたときはその登記が必要になります。
名称・目的及び業務・存立時期又は解散の事由の変更・廃止
名称・目的及び業務・存続期間・解散事由は定款又は寄付行為の必要的記載事項となっています。これらを変更したときは、社員総会又は理事会の決議によって定款又は寄付行為を変更し、都道府県知事の認可を受けなければ効力が生じません。
資産の総額の変更
登記すべき資産の総額は、貸借対照表の資産の部の合計額ではなく、法人の純資産(資産の部の合計額-負債の部の合計額)です。 資産の総額は毎決算期で異なりますので、毎事業年度末日現在の金額を毎期、登記する必要があります。
主たる事務所の移転
主たる事務所の移転したときは、変更の登記が必要になります。定款又は寄付行為の変更が必要な場合は、都道府県知事の認可を受けなければなりません。都道府県知事が変わらないときは、届出で足りるとされ、認可は要しません。従たる事務所の設置・移転・廃止をしたときも、登記が必要になります。
理事長の変更
代表者の資格は、医療法人にあっては理事長とされています。理事長は1人で理事である医師又は歯科医師から選出することになっています。理事長の変更が生じたときも、その登記が必要になります。
合併
財団法人と社団法人の合併はできません。また、財団法人は寄付行為に合併できる旨の記載が無ければ合併できません。医療法人が合併したときは、都道府県知事の認可を受け、その登記をすることで効力が生じます。債権者に対する公告も必要になります。
解散・清算結了
解散をしたときは、解散及び清算人の登記、清算結了の登記が必要になります。
医療法人が解散するのは次のような場合です。
- 定款又は寄付行為で定めた解散事由の発生
- 目的たる業務の成功の不能
- 総会の決議
- 他の医療法人との合併
- 社員の欠亡
- 破産手続開始の決定
- 設立認可の取消し
2と3は都道府県知事の認可が必要になります。