建設業
建設業許可申請
建設業は、手抜き工事や粗雑工事などの不正な工事を防止し、建設工事の適正な施工を確保して、発注者を保護する等の目的を実現するため、建設業法によって許可制がとられています。そのため、一定の規模を超える建設工事は、国土交通大臣又は都道府県知事の許可を受けた建設業者しか受注できません。
「建設業」とは建設工事の完成を請負うことを業務とすることを言います。「請負」とは雇用や委任と異なり、雇用主・注文者の指揮・監督から離れて、「工事を完成させること」により報酬を受取る契約のことを言います。
許可がなくてもできる工事
建設工事の請負を業務とする場合、絶対に建設業の許可が必要かというとそのようなことはありません。建設業の許可がなくてもできる工事もあります。
1つの工事を2つ以上の契約に分割して請負うとき(屋根工事・内装工事・配管工事というように、工事の種類によって契約や発注先を分ける場合)は、各契約の請負代金の合計額となります。例えば、1つの建設工事について内装工事と塗装工事の注文があったが、その工事代金の合計が500万円を超えてしまうような場合、どちらかの工事の請負を控えなければなりません。
建設工事と建設業の種類
建設業の許可はいくつかの要件(条件)を満たさなければ受けることができず、その条件によって請負うことのできる工事(請負うことのできる資格)が制限され、工事の専門性・技術性によって28の業種に分けられています。この業種は要件を満たせばいくつでも許可は受けられますし、後で業種を追加することも可能です。
1. 一式工事と専門工事
土木一式工事と建築一式工事の2つの一式工事は、他の26業種の専門工事を組み合わせて総合的な企画、指導、調整の下に工作物・建築物を完成させる工事のことを言います。一式工事の許可を持っていても、他の26業種の専門工事の許可を持っていない場合は、500万円を超える専門工事を単独で請負うことはできません。500万円を超える専門工事を請負うには、その専門工事に該当する許可を持っていなければなりません。
2. 建設業の種類
許可の種類と区分
1. 許可の種類
建設業の許可には国土交通大臣の許可と都道府県知事の許可の2種類があります。
建設工事を行うのは、営業所の所在地にかかわりなく、他の都道府県においても工事を行うことは可能です。例えば、東京都知事の許可を受けた建設業者が、埼玉県での建設工事を請負って行うことは全く問題ありません。
ただし、事業を行ってゆく中で、規模が大きくなり、本店営業所のある都道府県外に支店や営業所(契約の締結を行う事務所)を設ける場合は、知事許可から国土交通大臣への許可換え新規の許可申請が必要となります。
逆に規模を縮小して1つの都道府県のみに営業所を有することとなった場合は国土交通大臣許可から知事許可への許可換えが、1つの都道府県のみに営業所を有している建設業者が他の都道府県に移転して引き続き建設業を営む場合は、移転先の都道府県知事の許可換えが必要となります。
2. 許可の区分
建設業の許可には一般建設業と特定建設業に区分されています。
許可を受けるためには
建設業の許可を受けるためにはいくつかの要件(条件)を満たさなければなりません。
- 一定の経験を有する経営業務の管理責任者が常勤でいること
- 一定の技術を有する専任技術者を営業所ごとに常勤で置いていること
- 請負契約に関して誠実性を有していること
- 請負う契約を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有していること
- 欠格要件に該当しないこと
- 暴力団の構成員でないこと
以下では一般建設業の要件について記載します。
1. 一定の経験を有する経営業務の管理責任者の要件
建設業の許可を受けることのできる経営業務の管理責任者になることのできる条件
法人においては常勤の役員のうち少なくとも1人が下記アイウのいずれかに該当しなければなりません。
- 許可を受けようとする建設業(上記28業種)に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者(役員名・経験年数を証明する書類が必要です)
- 許可を受けようとする建設業に関し、経営業務の管理責任者に順ずる地位にあった者で、経営業務の執行に関して、取締役会の決議を経て取締役会又は代表取締役から具体的な権限委譲を受け、かつ、その権限に基づき執行役員等として5年以上建設業の経営業務を総合的に管理した経験を有する者、又は7年以上経営業務を補佐した経験を有する者。(事前に都道府県との相談が必要となります)
- 許可を受けようとする建設業以外の建設業に関し7年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者(※1)。
※1 役員名・経験年数の証明書類
登記事項証明書、確定申告書の写し、建設業許可通知書の写し、工事請負契約書、工事請書、注文書、請求書 等々
- 例1) 建設業の許可を受けた建設業者の取締役として5年以上の経験のある方が独立して、会社を設立し、以前取締役であった会社と同じ業種の建設業を営む場合は、その方を経営業務の管理責任者として建設業の許可を受けることが可能となります。
- 例2) 建設業の許可を受けた建設業者の取締役として7年以上の経験のある方が、異なる業種の建設業に参入を目指す会社へ転職した場合は、その方を経営業務の管理責任者として建設業の許可を受けることが可能となります。
- 例3) 500万円以下の内装工事を5年間営んでいた個人が会社を設立した場合は、その方を経営業務の管理責任者として建設業の許可を受けることができます。(工事請負契約書・工事請書・注文書・請求書の写し等で5年間内装工事を行ってきた実績を照明する必要があります。)
2. 一定の技術を有する専任技術者の要件
建設業の許可を受けることのできる専任技術者になることのできる条件
専任技術者は下記のアイウのいずれかの条件を満たす者でなければならず、営業所が複数ある場合は、全ての営業所に常勤していなければなりません。
- 高校の所定の学科卒業後5年以上、又は大学の所定学科卒業後3年以上の実務経験を有する者(所定の期間以上の実務経験があることについての証明資料が必要となります)
- 学歴・資格を問わず、10年以上の実務経験を有する者(10年以上実務経験のあることについての証明資料が必要となります。)
- 許可を受けようとする業種に関して資格・免許(別紙2参照)を有する者(証明資料として、資格証・免許証が必要となります)
3. 請負契約を履行するに足る財産的基礎等のあること
次のアイウのいずれかに該当すること
- 自己資本(資産総額から負債総額を引いた純資産額)が500万円以上あること
- 500万円以上の資金調達能力のあること
- 直前5年間許可を受けて継続して営業した実績のあること
4. 欠格要件に該当しないこと
当然ながら、許可申請書若しくは添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、又は重要な事実の記載がかけている場合は許可を受けられませんが、その他に以下のア~カのうち1つでも該当する場合にも許可を受けることはできません。法人の場合は役員のうち1人でも該当する方がいると、許可を受けることはできません。
- 成年被後見人・被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
- 不正の手段で許可を受けたことと等により、その許可を取り消されてから5年を経過しない者
- 許可の取り消しを免れるために廃業の届出をしてから5年を経過しないもの
- 建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼしたとき、あるいは危害を及ぼすおそれが大であるとき、又は請負契約に関し不誠実な行為をしたこと等により営業の停止を命ぜられその停止の期間が経過しないもの
- 禁錮以上の刑に処せられその刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
- 建設業法、建築基準法、労働基準法等の建設工事に関する法令のうち政令で定めるもの、若しくは暴力団員による不当な行為の防止に関する法律の規定に違反し、刑法等の一定の罪を犯し罰金刑に処せられ、刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
許可申請の流れ
手続費用
知事許可新規申請
- 報酬: 15万円~※
- 手数料等(実費): 手数料:9万円
大臣許可新規申請
- 報酬: 20万円~※
- 手数料等(実費): 登録免許税:15万円
※ 上記報酬は公的証明書の取得代行、役員の人数、経験証明の難易度等により増額させていただく場合がございます。また、公的証明書の実費、郵券・交通費等は上記報酬に含みません。
許可取得後の手続:変更届
許可を受けた後に下記の変更があった場合は、変更届出書を提出しなければなりません。必要な届出を行っていない場合、後に述べる追加申請や更新申請(免許の有効期間は5年です)はできません。特に決算報告については、毎年必ず行わなければなりません。
- 変更後30日以内に届出
- 商号変更
- 営業所の所在地・電話番号
- 営業所の新設・廃止
- 資本金額
- 役員の就任・退任、代表者の変更
- 変更後2週間以内に届出
- 経営業務の管理責任者の変更
- 専任技術者の変更
- 事業年度終了後4か月以内
- 決算報告
変更届の費用
変更事項1件当たり5万円~
許可取得後の手続:業種の追加
先に掲げた28業種のうち1つの業種において許可を受けた後に、他の業種を追加して許可を受けることも可能です。経営業務の管理責任者の要件と専任技術者の要件を満たすようになれば、いつでも業種の追加は可能です。
業種の追加の費用
- ア.変更後30日以内に届出する必要があるもの
- 報酬: 5万円~
- 商号変更
- 営業所の所在地、電話番号の変更
- 営業所の新設、廃止
- 資本金額の変更
- 役員の就退任、代表者の変更
- イ.変更後2週間以内に届出する必要があるもの
- 報酬: 5万円~
- 経営業務の管理責任者の変更
- 専任技術者の変更
- ウ.事業年度終了後4ヶ月以内に届出する必要があるもの
- 報酬: 5万円~(1期あたり)
- 決算報告
※ 上記報酬は公的証明書の取得代行、役員の人数、経験証明の難易度等により増額させていただく場合がございます。また、公的証明書の実費、郵券・交通費等は上記報酬に含みません。
許可取得後の手続:更新申請
許可の有効期間は5年です。引き続き建設業を営もうとする場合は、期間が満了する日の30日前までに許可を受けたときと同様の手続き(新規申請と同様の手続き)によって、更新の手続を取らなければなりません。
なお、更新の許可申請の受付が開始するのは
- 知事許可: 5年間の有効期間が満了する日の2か月前から
- 大臣許可: 5年間の有効期間が満了する日の3か月前から
となりますので、早めに手続きをされることをお勧めいたします。
更新申請の費用
先に述べましたように、更新申請には必要な変更届や、決算報告が完了していなければすることができません。
- 変更届が必要ない場合: 10万円~
- 変更届を必要とする場合: 10万円~+上記変更届報酬
その他の手続き
業種の追加
先に掲げた28業種のうち1つの業種において許可を受けた後に、他の業種を追加して許可を受けることも可能です。経営業務の管理責任者の要件と専任技術者の要件を満たすようになれば、いつでも業種の追加は可能です。
般・特新規
- 「一般建設業」のみを受けている者が「特定建設業」を申請する場合
- 「特定建設業」のみを受けている者が「一般建設業」を申請する場合
どちらかに該当する場合は、「般・特新規」という手続きをすることになります。
許可換え新規申請
- 県知事許可から県知事許可へ変更したい場合
- 県知事許可から国土交通大臣許可へ変更したい場合(他県において営業所を新設するとき)
- 国土交通大臣許可から県知事許可へ変更したい場合(他県の営業所を廃止するとき等)
費用
- 業種追加申請
- 報酬: 1業種あたり:5万円~
- 手数料等(実費): 手数料:5万円
- 般・特新規申請
- 報酬: 15万円~
- 手数料等(実費): (知事)手数料:9万円
(大臣)登録免許税:15万円 - 許可換え新規申請
- 報酬: 1業種あたり:15万円~
- 手数料等(実費): (知事)手数料:9万円
(大臣)登録免許税:15万円
※ 上記報酬は公的証明書の取得代行、役員の人数、経験証明の難易度等により増額させていただく場合がございます。また、公的証明書の実費、郵券・交通費等は上記報酬に含みません。