公益認定
公益認定とは?
公益的活動を行う法人としてのお墨付き
公益法人3法の施行により、公益目的事業を行うことを主たる目的とし、公益認定の基準を満たす「公益社団・財団法人」と、事業の公益性の有無にかかわらず登記の未で設立できる「一般社団・財団法人」は、明確に区別されることになりました。
しかし、新制度では、一般社団・財団法人も、公益認定の基準を満たし行政庁から公益認定の処分を受けることで、公益社団・財団法人となることが認められました。
公益認定を受けると、法人名に「公益」の名称がつくことで社会的な信用が増すだけでなく、各種税制の優遇が受けられるなどのメリットがあり、まさに公益的活動を行う法人に与えられる行政庁からの「お墨付き」といえます。
公益認定のメリット/デメリット
公益認定を受けることのメリット/デメリットとして、主に以下のものが考えられます。
(+)メリット | (-)デメリット |
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◆ 「公益社団法人」「公益財団法人」を名乗ることができます。 ◆ 法人税は、収益事業のみに課税され、かつ、収益事業のうち行政庁から公益目的事業と認められたものについては非課税となります。 ◆ 寄附者が法人の場合は、法人税の損金参入限度額が拡充され、個人の場合は、所得税の所得控除が認められるなど、寄附者側にも税制上の優遇措置があります。 ◆ 公的・民間の補助金の中には、公益法人であることを要件にしているものがあります。 |
◆ 経常費用ベースで、公益目的事業が法人全体の過半を占める必要があります。 公益目的事業は、具体的な実施方法についても認定基準を満たす必要があります。 ◆ 毎年度2回、行政庁に定期報告を提出するほか、事業内容を変更するときは申請や届出が必要です。 定期的な立入検査や、随時の報告徴収に対応する必要があります。 ◆ 経理上の管理不徹底や、不適正な機関運営は、認定取消し要因となります。 特定の個人・団体に便宜を図るような活動はできません。 |
公益認定のポイント
法人運営の総合的な検証が必要
公益認定の基準は多岐に渡り、これをクリアするためには、事業内容、会計、法務などの多角的な視点から、法人実態を総合的に検証・整備する必要があります。
事業内容 | ・公益に関する事業であって(認定法別表該当性)、かつ、不特定多数の者の利益の増進に寄与する(不特定多数性)事業の仕組みを構築する必要があります。(公益目的事業) ・収益事業であっても、特定の個人・団体に便宜を図ることはできません。(特別の利益の供与の禁止) |
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財務・会計 | ・公益目的事業、収益事業、法人会計(管理部門)で、経理を区分します。 ・公益目的事業は、経常収支がマイナスである必要があります。(収支相償要件) ・経常費用ベースで、公益目的事業が法人全体の50%以上である必要があります。(公益目的事業費率要件) ・使途未定の固定資産は、公益目的事業の経常費用額以下である必要があります。(遊休財産保有制限要件) |
法務 | ・一般社団・財団法人としての定款を、公益認定基準に即したものに変更する必要があります。 ・役員報酬規程、寄附金規程、会員規程などの内規を整備する必要があります。 |
定型の申請書の作成が必要
公益認定申請書は定型の書式と記載方法があり、これらに則して作成しなければなりません。書類に不備があると、申請の取下げを求められる場合がありますので、慎重かつ正確に作成する必要があります。
行政庁との継続的な協議が必要
公益認定申請後は、認定の答申を受けるまで、記載内容の修正、補足資料の提出など、審査行政庁と継続的に協議を行うことになります。標準審査期間は4ヶ月(内閣府申請の場合)とされていますが、事業内容や規模によっては半年以上の長丁場になることもあり、労力と根気が求められます。