星野合同事務所

株式分割・併合 / 種類株式 / 株券発行の定め

1株の価値を小さくして出資しやすい状態にする|株式分割

株式の分割とは資本金の額はそのままで、発行済の株式を細分化して、新しい株式を発行することです。1株の価値を小さくして出資者が出資しやすい状態にすることが主な目的ですが、その他にも、持株比率の調整のための株式譲渡の前提として、ストックオプション発行の際の基礎固めとしてなど、様々な目的で利用することができます。

細かくなりすぎた株式を把握しやすい単位にまとめる|株式併合

株式分割とは反対に、株式の併合は資本金の額はそのままで、数個の株式を併せてそれよりも少ない株式とすることです。株式を併合すると、発行済の株式は一律に、かつ比例按分的に減少して、1株あたりの価値は増大することになります。細かくなりすぎた株式を把握しやすい単位にまとめることが主な目的です。

株式の分割は、取締役会決議によって決定し、決議で定めた日に効力を発生させることができます。株式の併合は、株主総会の決議で決定し、株券提供公告が必要となりますので、その効力が発生するのは、決議した日から少なくとも1ヶ月後となります。株式の分割・併合をしたときは、発行済株式の総数が変更するので、その登記が必要になります。

幅広い資金調達の方法を探ることが可能にする|種類株式

会社は、権利内容の違った株式を発行することができます(会社法108条)。

種類株式には、利益配当や残余財産の分配についての優先権や劣後権を定めた株式や議決権の有無を定めた株式、会社が株式を取得できる条項を定めた株式等があります。まったく議決権がない完全無議決権株式や、会社による将来の買受けが予定される株式など、多様な種類株式を発行することが可能ですので、これらを利用することにより、会社としては経営権の安定を維持しながら、幅広い資金調達の方法を探ることが可能となります。

また、株式取得側としては、関心のある部分(優先配当権・議決権等)だけを把握することができ、目的に合わせて取得する株式を選択することが可能です。会社が種類株式を発行したときは、株主総会の決議によって、定款にその内容等を定め、登記が必要になります。

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会社が株券を発行する場合には登記が必要|株券発行の定め

株式会社は、株券を発行しないことを原則としています。株券を発行する場合は、その旨を定款で定めることができるとされています(会社法214条)。

会社が株券を発行する場合には、株主総会の決議によって、定款にその旨を定め、登記をすることが必要になります。

会社法施行前においては、株式会社は原則として株券を発行することとされていました。そのため、会社法施行前から存在する会社のうち、定款で株券不発行制度を採用していない会社については、定款に株券を発行する旨の定めがあるものとみなされ、職権によりその登記がされています。

株券を発行する登記がされていても実際には発行していない場合

株券を発行する旨の登記がされていても実際には株券を発行していない会社は多くあります。株券を発行しないこととする場合には、株主総会の決議によって、定款を変更して株券を発行する旨の定めを廃止し、その登記が必要になります。

株券を発行する旨の定めを廃止する定款の変更をするときは、効力発生の2週間前までに、株券を発行する旨の定款の定めを廃止する旨の公告及び株主・登録株式質権者に対する各別の通知をしなければならないとされています(会社法218条)。登記において、株券廃止公告をしたことを証する書面が必要になります。

ただし、株券を発行していない会社については、株主及び登録株式質権者に対して通知のみすれば足ります。登記において株券の全部を発行していないことを証する書面(株主名簿等)が必要になります。