相続による所有権移転登記
相続による所有権移転登記
不動産の所有者が死亡した場合、相続人への所有権移転登記が必要となります。相続による所有権移転登記は、所有権の移転を受ける人からの単独申請なので、添付書類が非常に厳格となります。相続税の申告期間は法定されていますが、相続登記についてはいついつまでに申請しなければならないという規定はありません。しかし、名義を変えずに放置しておいた為に、その後さらに相続が発生して相続人の数が増え、遺産分割協議をやろうにも話がまとまらなくなるという可能性もあり得ます。早めの手続をお勧めいたします。
必要書類
- 被相続人の出生から死亡するまでの一連の戸籍・除籍・改製原戸籍(当事務所でお取り寄せすることができます) → 相続人の確定をするために必要となります。登記実務では被相続人の10歳位までの除籍・原戸籍にさかのぼることで足ります。
- 被相続人の戸籍の附票か住民票の除票 → 被相続人が登記された名義人と同一であることを証明するため
- 相続人全員の戸籍謄本(抄本) → 相続人が相続時に生存していることを証明するため
- 固定資産評価証明書 → 当事務所で取得することも可能です
- 委任状(当事務所で作成します)
法定相続分と異なる場合の必要書類
- 遺言書 → 遺言書で相続分が指定されている場合に必要となります
- 相続放棄申述受理証明書 → 家庭裁判所に相続放棄申述をした場合に必要となります
- 遺産分割協議書および相続人全員の印鑑証明書 → 遺産分割協議がなされた場合に必要となります
特殊なケースでの必要書類
- (除籍・改製原戸籍等が)滅失したことの証明書→除籍・原戸籍等が戦災・災害により滅失しており、交付できないことを市区町村長が証明します
- 他の相続人が不存在であることの上申書→相続人全員が「私たちの他には相続人がいません」という旨を法務局に対して上申いたします。相続人全員による実印での押印・印鑑証明書の添付が必要となります。
以上の2つの書類をもって、滅失した戸籍の代わりとするのが登記実務の取扱いとなっております
- 不在籍不在住証明書および権利証又は登記識別情報→被相続人の登記簿上の住所と死亡時の住所が異なっており、戸籍の附票又は住民票の除票によっても住所変更の事実が証明できない場合
戸籍の附票や住民票の除票は、除却後5年間しか保存されないため、被相続人の登記簿上の住所と死亡時の住所の連続性が証明できず、結局被相続人と登記名義人の同一性を証明することができない場合があります。
この場合、登記上の住所地の市区町村において、登記名義人と同一住所、同一氏名の者が他にいないことを証明する「不在籍不在住証明書」と「権利証又は登記識別情報」をもって、登記名義人と被相続人の同一性に関する証明を補完するのが登記実務の取扱いとなっております。
「権利証又は登記識別情報」を紛失している場合は、相続人全員により「登記名義人と被相続人が同一人であることの上申書」(相続人全員の個人の実印及び印鑑証明書の添付が必要)をもって代えることができるのが通例ですが、事前に法務局に確認をとったほうがよろしいでしょう。
所要期間
登記を申請して完了するまでの期間は、法務局の混雑状況にもよりますが、一週間から二週間くらいです。戸籍等を収集してから遺産分割協議を経て、登記申請に至るまでは事案によって異なりますので、別途ご相談ください。
費用等
登録免許税は、固定資産評価額(1,000円未満は切り捨て)の1,000分の4(例:5,000万円の評価額の土地につきましては、登録免許税は20万円となります)です。その他、戸籍等の収集費用、司法書士報酬等が別途必要になります。
注意点
- まれに相続人の方が把握されてない所有不動産(例えば非課税扱いの公衆用道路など)が判明することがあります。当事務所では名寄帳という市町村の課税台帳に記載されている名義人の所有不動産一覧を閲覧して調査いたします。
- 遺産分割協議はすべての相続人が参加して行う必要があります。遠方にお住まいの相続人がおられる場合は持ち回り、郵送でのやりとりでも構いません。一部の相続人を除外してなされた遺産分割協議は無効です。
- 遺言書がある場合は、公正証書遺言を除き、家庭裁判所による検認という手続が必要です。検認を受けないで遺言を執行したり、家庭裁判所外で封印のある遺言書を開封したりしますと、5万円以下の過料に処せられますので注意が必要です。