相続財産の調査
相続財産の調査
故人にどんな財産があったのかを調査することはとても重要です。
借金のようなマイナスの財産があった場合には、このマイナスの財産も相続することになります。
マイナスの財産がプラスの財産より多くなる場合には相続放棄、マイナスの財産とプラスの財産はどちらが多いのかわからない場合には限定承認なども検討する必要があります。
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財産調査が不十分であれば相続税を後から追徴される等の問題も生じてきますので、財産リストを作成するなどしてしっかりと調査を行いましょう。
変更
- 市区町村に世帯主変更届
- 電気、ガス、水道、電話、NHK
返却・解約
- 健康保険証、年金証書、パスポート
- 資格の免許証
- クレジットカード
- スポーツクラブの会員証
- 葬祭料、埋葬費等の請求
故人の銀行口座
銀行などの金融機関は、口座名義人が亡くなったことがわかるとすぐに口座を凍結します。これは一部の相続人が勝手に預金を引き出すことを防止するためなので、凍結後は引き出しはもちろんのこと、自動引き落としや口座振替もできなくなります。たとえ配偶者や子供から依頼をしても応じてもらえません。
口座の名義を変更できるのは、相続人全員による遺産分割協議が終了した後になります。
では、銀行はどのように口座名義人の死亡を知るのでしょうか。
都会の金融機関では、相続人等から口座名義人が亡くなったことを知らされて初めてその事実を認識することがほとんどなため、口座名義人が死亡してすぐにその口座を凍結することは少ないようです。
しかし地方の金融機関では、地元新聞紙が役所に死亡届の照会をして訃報欄に掲載することもあり、地方銀行などはそれを丹念に調べて凍結手続をすることもあるため注意が必要です。
また、亡くなった方の口座が凍結される前にうっかり預金を引き出してしまうと、後でトラブルに繋がる場合もあります。
銀行預金は口座名義人が亡くなると相続人全員の共有の財産となり、一部の相続人の判断で引き出すことができないため、「着服したのではないか」とあらぬ疑いをかけられることにもなりかねません。
葬儀費用は例外
例外は葬儀費用です。150万円程度なら、遺産分割協議前であっても引き出すことができます。引き出せる額は銀行によってばらつきがあります。
◆提出書類
各銀行所定の預金払戻請求書
◆提出人
共同相続人全員
◆提出先
預入先の各銀行
◆必要書類
- 故人の預金通帳または証書
- 届出印
- キャッシュカード
- 故人の除籍謄本など死亡を確認できる書類
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書(発行から3か月以内のもの)
- 各銀行所定の死亡届書
- 各銀行所定の相続人の念書等
- 葬儀社からの見積書または請求書
※各金融機関によって異なりますので確認してください。
財産調査
◆故人宛の郵便類をチェック
資産に対する税金の通知や取引銀行からの通知など重要な情報がわかります。
◆貸金庫をチェック
相続人全員が立ち会う場合
相続人全員の眼前で貸金庫を開けるのが原則で、遺産分割協議の前に開きます。
貸金庫は通常、利用者が持っている正鍵と銀行が保管するマスターキーの双方を合わせて使用しないと開庫できない仕組みになっています。銀行によっては暗証番号とカードを使用するところもありますので、確認しましょう。
立ち会えない相続人がいる場合
相続人全員から代理権が与えられた相続人に、貸金庫の開庫手続を行ってもらうことができます。
存命中、故人はあらかじめ届け出ることによって貸金庫を開庫する代理人を指定できますが、死亡すると代理人の代理権は消滅するので、当該代理人も開閉することはできません。
◆必要書類
- 故人の除籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書
- 各金融機関所定の念書
- 貸金庫の正鍵
- 貸金庫契約時の届出印
※各金融機関によって異なりますので確認してください。
プラスの財産
財産の種類 | 調査方法 |
---|---|
不動産(土地・建物・マンション・別荘) | 固定資産税通知書や権利証、市区町村発行の名寄せ等 |
借地権、借家権、賃借権、地上権、温泉権等 | 契約書や登記簿謄本。生前に取引のあった不動産管理会社に問い合わせる |
現金、小切手、預貯金等 | 自宅や別荘内を徹底的に調査。カードや通帳から判断する。ない場合には、金融機関に出向いて残高証明書や名寄せを取得する。 |
株式、社債、投資信託等の有価証券 | 故人宛の手紙や金融機関の口座の記録、通帳等、貸金庫に株券があるかどうか調べる。 |
特許権、著作権、実用新案権等の無体財産権 | 特許情報プラットフォームで故人の名前を入力して検索する。 |
宝石、貴金属、美術品、自動車等の動産 | 自宅や別荘、勤務先、入院先、貸金庫 |
ゴルフ会員権 | 自宅や別荘、勤務先、入院先、貸金庫 |
電話加入権 | NTTに問い合わせる |
故人が受取人になっている生命保険金 | 保険証券等 |
貸付金 | 故人宛の手紙などを調べる |
マイナスの財産
財産の種類 | 調査方法 |
---|---|
借金(住宅ローン、カードローン、クレジットカード会社への支払い等) | クレジットカード、故人宛の手紙や請求書、全部事項証明書の抵当権の記載等から調査 |
未払いの税金(固定資産税、所得税、住民税等) | 故人宛の手紙や督促状 |
入院費、治療費 | 入院先や通院先の病院に問い合わせ |
保証債務 | 故人宛の手紙や請求書 |
相続財産に含まれないもの
- 死亡退職金
- 遺族年金
- 生命保険金請求権
- 一身専属権(扶養請求権、生活保護受給権、国家資格など)
- 使用貸借権
- 仏壇、位牌、墓地、墓石などの祭祀財産
- 香典、弔慰金、葬儀費用
- 人的な義務(身元保証、信用保証、根保証債務など)
相続財産とは、相続人全員に平等にわけられるものですが、上記財産は故人から特定の個人に対して与える性質をもつので、相続財産とされていません。
しかし、相続税がかかるもの(みなし相続財産)もありますので注意が必要です。
みなし相続財産
故人の財産でないにも関わらず、相続財産として相続税が課されます。
このような財産を「みなし相続財産」といいます。
◆故人が死亡する前の3年間で贈与された財産
故人が死亡する直前に相続人に財産を贈与した場合は相続税の課税対象になる。
◆生命保険金
生命保険金の受取人が故人以外であった場合は受取金の一部が相続税の課税対象になる。
※死亡保険金の非課税金額(500万円×法定相続人の数)
◆死亡退職金
死亡退職金の受取人が故人以外であった場合は受取金の一部が相続税の課税対象になる。
※死亡退職金の非課税金額(500万円×法定相続人の数)
◆弔慰金
もともと弔慰金は非課税だが、世間一般の常識的金額(※)を超える場合は相続税の課税対象になる。
※業務上の死亡の場合は普通給与の3年分、業務上の死亡ではない場合は普通給与の半年分。
- 故人が受取人である場合の生命保険金・死亡退職金は故人の財産になるため、通常の相続財産になります。
- この「みなし相続財産」の規定は節税のために財産の譲渡がなされることを防止するためのものになります。