星野合同事務所

マイナンバー制度導入による住民基本台帳カードの廃止と個人番号カード発行のリスク

2015.11.09更新

住民基本台帳カード(以下、「住基カード」という)は、住民基本台帳ネットワークシステム(以下、「住基ネット」という)の導入に際し、国民の行政手続きの負担軽減や、全国共通の本人確認を目的として、個人からの申請にもとづき、各自治体により交付されたカードです。
顔写真付きの公的身分証明書となるため、運転免許証等をお持ちでない方の本人確認資料として、広く活用されてきました。また、個人の電子証明書を格納する機能も有するため、e-Taxによるオンライン申請や、引っ越しの際の転出・転入届の特例(転出先の役所へ出向かずに転出届の手続きを取れる特例)や、自動交付機による各種証明書の取得等、わざわざ行政機関へ出向かずに手続きがとれるメリットがありました。

しかしながら、この度のマイナンバー制度の導入で、平成27年12月31日をもって、住基カードは個人番号カードへと役割が引き継がれることになります。
住基カード廃止の際の注意点は、有効期限内の住基カードは引き続き使用ができますが、平成28年以降に有効期限が切れた場合は更新ができず、個人番号カードに変更となります。有効期限が切れた住基カードは本人確認資料としても使用できません。
また、これら二つのカードは、同時に所有することはできないため、個人番号カードの交付の際に回収されることになりますが、どこまで厳密に回収が行われるかわかりませんので、個人番号カードへの切り替えの際に、回収を免れた住基カード(有効期限内のもの)が本人確認資料として偽造され悪用される可能性も考えられます。

続いて、個人番号カードの注意点ですが、個人番号カードには、住所・氏名・生年月日・顔写真といった従前住基カードにも記載されていた事項に加え、裏面に個人番号が記載されます。住基カードで管理されていた情報よりも多くの重要な情報を管理する番号が、隠されることなく記載されているため、利便性は増す一方で、取り扱いには一層注意が必要となります。
また、我々、司法書士も本人確認資料として顔写真付きの身分証明書を提示していただき、写しを取ることがありますが、個人番号の記載がある資料の写しは法定された者のみしか取ることが許されていないため、注意しなければなりません。

マイナンバー制度の導入は大きな制度改革となりますが、当事務所は最新の情報を取り入れて業務対応しておりますので、安心してご相談ください。