国外居住者のみで会社設立が可能に
2015.04.23更新
従前の取り扱い及びその背景
商法や会社法の条文には規定されてはいませんでしたが、登記実務上約30年近く、会社代表者には国内に住所を有する者が最低1名は必要でした(昭和59年9月26日民四第4974号民事局第四課長回答及び昭和60年3月11日民四第1480号民事局第四課長回答)。
この実務の背景には、会社代表者全員が国外居住者であると裁判手続きや強制執行等の実効性が欠けやすく、会社やその代表者に対する責任追及が困難になる虞があることが挙げられていました。
従前の取り扱いの変更
昨今の急速なグローバル化に伴い日本に進出しようとする外国人や外国企業にとって、上記の取り扱いが負担になることがあり、また、就労ビザ取得の点からも変更の要請がありました(外国人が就労ビザにより日本国内で就労する場合、その取得には、先立つ内国法人の設立が必要となるため)。
そこで法務省は平成27年3月16日に、前述の取り扱いを廃止する旨をHP上に公示し、同日以降は国外居住者のみで会社(下記※参照)が設立できることになりました。
実務上の問題点
株式会社を発起設立する場合、代表発起人の口座に資本金を振り込む手続きがありますが、その口座が内国金融機関(又は外国銀行の日本支店)のものでなければならないため、国外在住の外国人・外国法人が内国金融機関の口座開設ができるか、また外国銀行に日本支店があるか等、登記以外の実務も考慮しなければなりません。
弊事務所では、外国人に関わる会社設立や外国法人の子会社設立の登記手続きから、その後のビザ取得や許認可取得等をまとめてサポートしており、ビザや許認可取得の観点から、会社設立時から注意すべき点をコンサルティングしております。
さらに、常勤のカナダ国籍のネイティブスピーカー(日本語もネイティブレベル)がおりますので、英文対応もしており、海外案件についての経験も豊富です。ぜひお気軽にご相談下さい。
※ 条文上で法人代表者の国内居住を要求していない会社(株式会社、持分会社、一般社団法人等)のこと。但し、条文上で法人代表者の国内居住を要求している外国会社や有限責任事業組合については、引き続きその要件が必要となります。