星野合同事務所

会社法が改正されます。平成27年5月1日施行

2015.03.02更新

会社法が改正されます。平成27年5月1日施行

会社法の一部を改正する法律が、平成27年5月1日から施行されます。この改正は、コーポレート・ガバナンスの強化及び親子会社に関する規律の整備等を図ることを目的とするものです。

社外取締役の機能の積極的な活用

社外取締役の機能をより積極的に活用することによって取締役会の業務執行者に対する監督機能を強化するための改正が行われます。

(1)監査等委員会設置会社制度の創設
この改正により、監査等委員会設置会社制度が創設されます。監査等委員会は、3人以上の取締役から成り、その過半数を社外取締役とする機関で、職務執行の監査を行い、また、業務執行者を含む取締役の選任や報酬に関して株主総会における意見陳述権を有します。

(2)社外取締役を置くことが相当でない理由の説明
上場会社等が社外取締役を置かない場合、社外取締役を置くことが相当でない理由を定時株主総会において説明しなければならないとし、社外取締役の導入を促進しています。

(3)社外取締役の要件の厳格化
株式会社又は子会社の業務執行者等に加え、株式会社の業務執行者等の近親者や、親会社及び兄弟会社の業務執行者等も、その株式会社の社外取締役となることができないとして、社外取締役による業務執行者に対する監督等の実効性の確保が図られています。

親子会社に関する規律の整備のための改正

(1)多重代表訴訟制度の創設
持株会社形態の企業グループが多数形成されている現状を踏まえ、完全親会社の株主が、その権利保護のため、完全子会社の取締役等の責任を追及する制度(多重代表訴訟制度)が創設されます。

(2)組織再編の差止請求制度の拡充
合併等の組織再編における株主を保護するため、株主は、一定の要件の下、組織再編の差止めを請求することができることとしています。

(3)詐害的会社分割によって害される債権者の保護規定の新設
債権者の一部を害するような会社分割が行われた場合に、これによって害される債権者の保護を図るため、債権者を害することを知って会社分割を行った場合には、債権者は、財産等を承継した会社に対して、承継した財産の価額を限度として債務の履行を請求できることとしています。

そのほかの改正

監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがあるときは、その旨についても登記事項に追加するなどの改正が行われます。
この登記は平成27年5月1日以後、最初にする監査役の就任又は退任に関する登記と同時にすれば足ります。