星野合同事務所

京都市景観条例について

2015.01.26更新

京都のマクドナルドは看板の色が違う(赤⇒茶)ことを御存じの方も多いかと思います。ローソン(青⇒白)も、吉野家(オレンジ⇒白)も同様です。これは、京都市が条例によって規制しているからです。

京都市では、昭和31年から、屋外広告物等に関する条例を定め、景観保護のための規制を設けています。

この条例が、2007年の改正において大幅に強化されました。市内を21地域に分類して地域毎に看板の色や大きさを細かく規制しており、屋上広告や点灯広告は禁止です。

違反者には最大50万円の罰金が科せられます。条例の完全実施まで、7年の猶予期間が設けられ、その猶予期間が、昨年平成26年8月末に終了しています。

昭和31年以来、条例が存在しつつ、適切な指導と強制力を伴わないことで、違反看板が野放しでしたが、今回の改正により、京都市では、担当職員を大増員し、違反看板の摘発に本腰を入れています。

設置から50年以上経過し、他の地域でなら貴重とされるレトロな看板でも、規制に抵触すれば容赦なく指導の対象となっており、京都市の本気度が判ります。

しかし8月末時点でまだなお1万件弱の違反が残存しているとされています。改善が遅れている大きな要因は、違法看板の撤去改修費用が所有者の負担となっている点にあります。業績悪化や高齢化にあえぐ中小零細企業においては重い負担です。

さて昨年末12月10日、産寧坂伝統的建造物群保存地区(東山区、清水寺近く)の伝統的建造物に入居するチリ人の針金細工師が、許可なく外観を変更したとして、京都市は原状回復のための代執行に踏み切りました。

町屋の壁を、作業場を見せるためのショーウィンドーに改造した点が問題とされ、昨年7月以降、市が繰り返し行ってきた指導を無視し続けた経緯があります。

代執行の結果、ショーウィンドーは木板で塞がれました。市によると、伝統的建造物群保存地区での景観保全の為の行政代執行は全国初とのことです。