星野合同事務所

空き家問題と不在者財産管理人について

2014.11.17更新

空き家問題と不在者財産管理人について

最近、いわゆる空き家の問題が深刻化しています。

総務省の調べでは、2013年10月時点での空き家の数は、5年前との比較で63万戸増加し、過去最高の820万戸になったということです。すなわち、驚くべきことに、今や、7~8軒に1軒が空き家ということになります。

空き家が増加している原因は、少子化等による人口の減少や、東京などの都市部への人口流出といったことが考えられます。この人口の減少・人口流出といった傾向は、今後もさらに続くものと思われます。
また、核家族化、一人暮らしの若者や高齢者の増加といった原因により、従来、世帯数については、増加する傾向にありました。

しかし、この世帯数についても2019年をピークに減少に転じると見込まれています。この傾向が続くとすれば、ますます、空き家が増えていくことになります。現在のペースが続けば、15年後には、住宅全体の4分の1が空き家になるとの試算もあります。

最近では、隣家が長年、放置されて空き家になっており、この空き家が倒壊し被害を受けるかもしれないが、どうすればよいのかという相談を受けることもあります。このような場合、隣地の所有者から、その損害の発生を予防するための措置を裁判所に請求することができます。また、行政庁が所有者に対して建物解体等の命令を行えることになっています。

ただし、この隣地の所有者や行政庁の手続きに際してハードルとなるのが、所有者不明という問題です。長年放置されいわゆる空き家となっている家の場合、その所有者が現在どこにいるのかわからないというケースが多く、さらにその所有者の所在については、簡単には調査できないことがほとんどであると思われます。

こういったケースの最終手段として、不在者財産管理人の制度を利用することが考えられます。

隣地所有者等の利害関係人が、不在者の従来の住所地または居住地の家庭裁判所に、不在者財産管理人の選任を申し立て、不在者財産管理人が選任されると、この不在者財産管理人が不在者の財産を管理、保存することとなります。さらに、家庭裁判所の許可を受けることにより、不在者に代わって、不動産の売却を行うことができます。

すなわち、所有者が不在であっても、不在者財産管理人によって、不在者所有の空き家を他者に売却することが可能となるわけです。この方法が、空き家問題を解決するひとつの方法になると考えられます。