星野合同事務所

【Close up】 Vol.116 不在者財産管理人手続き/預貯金は遺産分割の対象となる

2017.01.31更新

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  CLOSE UP VOL.116  司法書士法人・行政書士法人 星野合同事務所

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇2017/1/31◇━━

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★ INDEX
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  【1】不在者財産管理人手続き(相続人の一人が行方不明の場合)
  【2】預貯金は遺産分割の対象となる
  【3】あいうえお順で覚える!!法律用語
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【1】不在者財産管理人手続き(相続人の一人が行方不明の場合)
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相続が発生した場合、遺言がないと、
法定相続人全員で遺産分割協議を行わなければ
相続手続きを進めることができません。

しかし、子どものいないご夫婦の場合、共同相続人が甥姪となることがあります。
そうすると、他の相続人と連絡が取れず、
相続手続きを進めることができない状態になってしまうことがありえます。

そんな場合には、どうすれば良いのでしょうか。
通常は、戸籍等を調査することにより住所が分かり、
そこにお手紙を送ることで連絡がつきます。
しかし、様々な理由から住民票上の住所地に住んでいない方も存在します。
郵便物を送っても全く反応がなく、行方不明の場合、
さて、どうすればよいのでしょうか。

このような場合のための制度として
「不在者財産管理人」という制度があります。

弊所で実際に扱った不在者財産管理人の事案をご紹介します。

行方不明と一言でいいますが、本当に行方不明といえるのか
調査をしなくてはなりません。
現地に赴き、調査をする必要があります。

住民票上の住所地はマンションの一室だったのですが、
訪問したところ、ポストは郵便物の山。
インターホンで呼び出しても応答なし。
マンションの管理人さんに事情を聞いたところ、
管理費も2年前から滞納しており、
管理組合としても困っているとの事情が伺うことができました。
水道・ガス等のライフラインも完全に止まっていたようでした。

もしかすると、部屋の中でお亡くなりになっている?
という可能性もありましたので、警察と依頼者さんの立会いのもと、
開錠業者を呼んでドアを開けて安否確認をしました。
部屋はごみ屋敷と化しており、とても人が住めるような状況ではなく、
やはり行方不明者はいませんでした。

そこで、行方不明者として家庭裁判所に
「不在者財産管理人」の選任申立を行い、
弊所グループの弁護士が、不在者財産管理人に選任され、
そのうえで、やっと相続手続きを進めることができました。

このように、相続人のうち、一人でも連絡がとれない人がいると大変です。
こうした事態を防ぐにはどうしたら良いのか・・・答えは簡単です。
遺言を遺しておけば、相続人全員での遺産分割協議は不要となります。
公正証書で遺言を遺しておけば、なお安心です。
せっかく遺言を遺すのであれば、専門家と相談して、
後の争いとならない、しっかりとした遺言を作成すべきです。
お気軽にご相談ください。

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【2】預貯金は遺産分割の対象となる
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暮れも押し迫った平成28年12月19日に最高裁判所にて
相続に関する重要な判断がなされました。
それは「可分債権である預貯金は遺産分割の対象とはならない」としていた
従来の判例を変更し「預貯金も遺産分割の対象となる」としたものです。

本来、相続財産というのは相続人に包括的に承継され、
相続人が複数名いる場合には
遺産分割によって具体的な相続分が確定するまでの間は、
各相続人間の相続分に応じて共有されるとするのが原則です。

ただし、その例外として金銭債権に代表される可分債権は遺産分割を経ずとも、
相続開始に伴い、当然に共同相続人の相続分に応じて直接承継されるものと
判断されてきました。

特に我々の身近なところである預貯金も
預貯金払戻請求権たる金銭債権として同様に考えられてきました。

さて、そう考えるとどんな問題が生じるのでしょうか。

例えば、相続人がX、Yの2名で法定相続分はそれぞれ2分の1。
遺産は建物1000万円、預金4000万円、
他生前にYが生計の資産として特別受益となる5000万円の土地を
受け取っていたとします。

まず相続分の算定基礎となるみなし相続財産ですが、
建物1000万円と預金4000万円に特別受益の5000万円を加えた1億円となります。

そうすると具体的な相続分は、Xは1億円の2分の1の5000万円。
Yは1億円の2分の1の5000万円から特別受益分の5000万円を差し引いた
0円となります。

ところが預貯金は遺産分割の対象外であるという従来の考え方をあてはめると
預金は法定相続分で当然に分割承継されるため、
Xが2000万円、なんとYも2000万円取得することになります。

すると結局Xは建物と預金で計2500万円、
Yは預金と特別受益分の計7500万円を取得するという結果になってしまいます。

これでは現金と金銭債権の預貯金という違いだけで
大きく不公平な結果が生じることになりかねません。

やはり評価が確実で利害調整にも使いやすい預貯金を含めた上で
具体的な遺産分割を行った方が公平で妥当な解決になるという手続上の要請と、
家庭裁判所の審判や一般実務においても
相続人全員の合意があれば預貯金の遺産分割も認められているということもあり、
判例もそういった諸事情に歩調をあわせたものと考えられます。

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【3】あいうえお順で覚える!!法律用語
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「わ」で始まる法律用語

【割増賃金(わりましちんぎん)】


使用者が33条、36条等によって労働者に時間外・休日労働をさせる、
あるいは深夜労働(原則的に、午後10時~午前5時)させる場合、
所定の割増賃金を労働者に支払わなければなりません(37条1項)。

割増賃金の額は、時間外・休日労働が通常の労働時間
または労働日の賃金の二割五分~五割の範囲の命令で定める率
(ただし時間外労働は当分の間、二割五分増し、休日労働のみ三割五分増し)、
深夜労働は、二割五分増しです。

このため、時間外労働が深夜に及ぶと五割増し、
休日の深夜労働は六割増しとなります。

さらに平成20年に成立した法改正で、
月60時間を超える法定時間外労働について
割増賃金率が五割以上引き上げられることになりました。

また「時間外労働の限度に関する基準」が改正されたため、
労使当事者は限度時間を超える時間外労働に対する割増賃金率を
引き上げるよう努めることとされました。


次回は「あ」から始まる用語を解説します。

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