星野合同事務所

メルマガCLOSEUP Vol.079 会社更生および民事再生と商業登記簿の記載について/数次相続と登記手続

2014.01.31更新

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  CLOSE UP VOL.79  司法書士法人・行政書士法人 星野合同事務所
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇2014/01/31◇━━

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★ INDEX
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  【1】会社更生および民事再生と商業登記簿の記載について
  【2】数次相続と登記手続
  【3】あいうえお順で覚える!!法律用語
  【4】ラジオ番組レポート!
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【1】会社更生および民事再生と商業登記簿の記載について
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取引先の商業登記簿を取り寄せてみて、企業倒産に関係する記載があると、どのような法的処理の段階にあるのか判断が難しい場合があります。
ここでは再建型倒産法制である会社更生、民事再生と商業登記簿の記載の関係を大まかに説明致します。

A:会社更生手続の特殊性は、管財人が選任され、経営権と財産処分権を有することです。
(1)更生手続開始決定があると、商業登記簿の会社状態区に、「平成○年○月○日○○裁判所の更生手続開始」役員欄に「管財人○○」と登記されます。
これ以降、更生会社が不動産を任意売却するには、管財人が更生会社を代表して契約および所有権移転登記手続を行います。
登記先例上、所有権移転登記に裁判所の許可書は不要とされています。裁判所の許可書を添付する場合は、権利証の添付が省略できます。
(2)更生計画が認可されると、商業登記簿の会社状態区に、「平成○年○月○日○○裁判所の更生計画認可」と登記されます。
これ以降、更生会社が不動産を任意売却するには、(1)と同様の手続になります。
(3)更生計画どおり返済が完了し、更生手続終結決定があると、商業登記簿の会社状態区に、「平成○年○月○日○○裁判所の更生手続終結」と登記された上で、「平成○年○月○日○○裁判所の更生手続開始」「管財人○○」「平成○年○月○日○○裁判所の更生計画認可」の登記は抹消されます。
これ以降、不動産の任意売却については、通常どおり代表取締役が会社を代表します。

B:民事再生手続の特殊性は、一般的に、代表取締役の代表権を残したまま監督委員が選任され、代表取締役の財産処分に対して監督委員が同意権を有することです。
(1)再生手続開始決定があると、商業登記簿の会社状態区に、「平成○年○月○日○○裁判所の再生手続開始」役員欄に「監督委員○○ 監督委員の同意を得なければすることができない行為(ただし再生計画認可決定があった後はこの限りではない)再生債務者が所有する財産にかかる権利の譲渡・・その他諸々」と登記されます。
特徴としては、役員欄に監督委員が同意権を有する事項と、同意権を有する期間の記載があることです。同意権を有する期間の記載がなければ、再生手続終結決定まで同意権を有することになります。
これ以降、再生会社が不動産を任意売却するには、代表取締役が再生会社を代表して契約および所有権移転登記手続を行い、監督委員が同意を与えます。
登記手続上、所有権移転登記に監督委員の同意書が必要です。
(2)再生計画認可決定が確定すると、商業登記簿の会社状態区に、「平成○年○月○日○○裁判所の再生計画認可決定確定」と登記されます。
これ以降、再生会社が不動産を任意売却するには、同意権を有する期間の記載がなければ、(1)と同様の手続になるのですが、同意権を有する期間の記載が(ただし再生計画認可決定があった後はこの限りではない)であれば、これ以降の不動産の任意売却については、通常どおり代表取締役が会社を代表します。
(3)再生計画どおり返済が完了し、再生手続終結決定があると、商業登記簿の会社状態区に、「平成○年○月○日○○裁判所の再生手続終結」と登記された上で、「平成○年○月○日○○裁判所の再生手続開始」「監督委員○○ 監督委員の同意を得なければすることができない行為・・・」「平成○年○月○日○○裁判所の再生計画認可決定確定」の登記は抹消されます。
これ以降の不動産の任意売却については、通常どおり代表取締役が会社を代表します。

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【2】数次相続と登記手続
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高齢化社会が進むなか、数次相続は今後多く起こりうるケースかと思われます。

数次相続とは、財産所有者が亡くなり相続が発生(1次相続)、遺産分割協議を待たずさらに相続人が亡くなりその方にも相続が発生(2次相続)した場合をいいます。一言でいえば、ある財産の承継に関して連続して相続が発生している状態です。
たとえば不動産所有者である父が亡くなり、遺産分割をせずに次いで母も亡くなり、子が単独で相続した場合があります。高齢の両親がいらっしゃる方には他人事ではないはずです。なお相続開始時に相続人となる方がすでに亡くなっていてその子である孫が相続する代襲相続とは異なります。

さて、上記の例をもとに数次相続について不動産登記を申請する場合は、本来2件の登記手続きが必要になります。
法定相続による1次相続の登記、および2次相続の登記です。登録免許税は2件分かかりますが、登記実務としては1件での登記申請が可能であり登録免許税も1件分で済みます。
父の相続について、母を相続した地位と子本人の地位の2つの地位をもって子単独で遺産分割協議をし、子が相続するとの内容の遺産分割協議書を添付することで1件での登記が 可能になります。

このような登記を最近2か所ほど申請しましたが、実はこのような1件での登記申請ができなくなってきています。
遺産分割をしていないのであれば、法定相続に則って2件分の登記申請をせよという見解(登記研究第758号171頁質疑応答、第759号113頁カウンター相談)が示され取扱状況に変化が生じてきたためです。
ですが、その見解には、「遺産分割協議書の添付がない場合には」と記載されており、上記事例では単独での作成であれ遺産分割協議書の添付はしているため1件で申請にすることに何ら問題はないのではないかと思われます。
しかしながら、法務局によっては登記申請を受け付けてもらえないところも出てきているとのことで個々の事例ごとに管轄する法務局に確認し慎重に登記申請する必要があります。なお最近申請した2か所の申請は事前に法務局に確認しております。

相続登記はもちろんのこと、相続に関連する税務や将来の財産管理に備えての任意後見契約等の財産保障全般についても対応しておりますので、いつでもお気軽にご相談ください。

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【3】あいうえお順で覚える!!法律用語
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「き」で始まる法律用語
【休眠担保権(きゅうみんたんぽけん)】

不動産登記の申請は原則として、登記権利者と登記義務者が共同してするが、抵当権等の担保権では設定登記後数十年以上の長期間に渡り放置され、債権者の行方が不明となり共同申請による登記手続が不可能となっている場合が少なくない。このような担保権を「休眠担保権」と呼ぶ。

実体上は既存の登記の抹消原因が発生しているにもかかわらず、登記義務者(債権者)が行方不明のため登記手続ができないとなると登記権利者にとってきわめて不利益となるため、法はこのような場合における登記の抹消手続について以下の3つの特例を認めている。(不動産登記法第70条)

・裁判所に対し非訟事件手続法の規定による公示催告の申立てをし、除権決定を得る方法
・申請書に「被担保債権が消滅したことを証する情報として政令で定めるもの」を添付する方法
・申請書に「被担保債権の弁済期から二十年を経過し、かつ、その期間を経過した後に当該被担保債権、その利息及び債務不履行により生じた損害の全額に相当する金銭が供託された事を証する情報」を添付する方法

以上のいずれかの方法により、登記権利者一人で休眠担保権の抹消登記手続を行うことができる。

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【4】ラジオ番組レポート!
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関東・関西・九州のラジオ番組に当事務所所長の星野がコメンテーターとして出演中です!
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