メルマガCLOSEUP(Vol.059 純資産を充実させる~許認可の観点から~/賃貸借契約の終了にまつわるトラブル)
2012.05.31更新
★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆★ CLOSE UP VOL.59 司法書士法人・行政書士法人 星野合同事務所 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇2012/05/31◇━━ ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 東日本大震災に関するお知らせ : 震災後の主要法令 特例措置のご案内東日本大震災 震災後の主要法令 特例措置―――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◎はじめての方へ このメールは当事務所お取引先、または当事務所所員が名刺交換させて頂いた方 メルマガ配信登録をしていただいた方に配信させていただいております。 登記、法務、税務、許認可等に関し、有用と思われる情報を少しずつ提供いたし ますので、よろしくお願いします。 当メルマガは等幅フォント(MS明朝、MSゴシック等)に最適化されています (アウトルックエクスプレスの設定法、本メール末尾)。 ※配信停止を希望される方は、(1) 件名に「配信停止」と入れ、このメールに返 信していただくか、(2) https://j.blayn.jp/sm/p/f/tf.php?id=hgo にアクセス し、メールアドレスを入力欄に入れて「解除」ボタンを押してください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★ INDEX ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 【1】純資産を充実させる ~許認可の観点から~ 【2】賃貸借契約の終了にまつわるトラブル 【3】あいうえお順で覚える!!法律用語 【4】ラジオ番組レポート! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆★ 【1】純資産を充実させる ~許認可の観点から~ ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 会社が営業のために取得する許可や免許には、法律の目的を達成するため、様々 な要件(条件)が規定されています。主なものとして、1.人的要件(資格・経験 のある人)、2.財産的要件(資本金○○円以上等)があります。 2.財産的要件を要求する許可・免許では、建設業や労働者派遣事業、職業紹介事 業、旅行業、貸金業等々があります。 例えば建設業では、一般建設業許可と特定建設業許可があり、一般建設業です と、自ら受注した建設工事については、合計3,000万円(建築一式工事の場合 は、4,500万円)までしか下請けに発注することができません。別の言い方をし ますと、下請けに発注することが多く見込まれる大規模な工事は、そもそも受注 できないこととなってしまいます。この点、特定建設業を持っていれば、下請け への発注限度額はありませんので、大規模な工事を受注することができます。 また、近年では、社会的にコンプライアンス意識が高まっていることもあり、下 請業者の側から、元請業者に対して、特定建設業許可を取得するよう要求する事 例も増えてきています。 特定建設業は、下請けへの発注限度額がないので、その分下請業者への代金の支 払が遅延したり、代金の不払いが起こらないよう、充実した資本があることが求 められています。具体的には、資本金が2,000万円以上、純資産が4,000万円以上 あり、下請業者を監督できる程度の技術者がいることが条件となります。純資産 とは、資産から負債を引いたもの(厳密に言いますと若干違うのですが・・・) で、貸借対照表では、右下の枠に記載されます。以前は、「資本」や「自己資 本」と言われていました。 しかし、大きな工事が受注できそうだ、下請業者から要求を受けたからといって 充分な資金がなければ、増資して、資本金・純資産を充実するということは簡単 ではありません。借入金で賄おうとしても、借入金は、資産の部を増加させます が、同時に負債の部に借入金として算入されますので、純資産が増加することは ありません。 ところが、会社の借入金を資本金に振り替えることによって、借金を減らして、 資本(純資産)を充実させる方法があります。 例えば、借入金の債権者が、貸付金である債権を現物出資して、代わりに株式を 取得するような方法です。負債(Debt)と資本(Equity)とを交換(Swap)するため、 デッド・エクイティ・スワップ(略して“DES”)と言われる手法で、近年多数 見受けられる方法です。 手続きとしては、借入金(返済すべきもの)が、株式(必ずしも返済しなくてい いもの、代わりに配当がもらえたり転売することで利益がもたらされる)に変化 しますので、債権者の同意を得ることが大前提となります。金融機関からの借入 の場合は、この同意を得ることは難しいと思われますが、その会社の社長や親族 が、個人的に会社に対して貸付を行っているような同意が得られるケースでは、 可能です。 DESの効果は、現実の金銭の移動がなくとも、負債を減らし、純資産を増加させ ますので、建設業やその他の許可要件を満たすことが可能となります。また、財 務体質が改善することで、金融機関からの融資が得やすくなります(逆に金融機 関の側からDESを要求してくるケースもあります)。 以上簡単にご説明いたしましたが、DESを行うにも様々な条件、手続きがござい ますので、その方法についても、星野合同事務所はサポートさせていただいてお ります。財務体質を改善したい、資本を充実させたい、特定建設業を取得したい 等疑問点がございましたら、お気軽にご相談ください。 ★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆★ 【2】賃貸借契約の終了にまつわるトラブル ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 賃貸借契約の終了には、ときに様々なトラブルが伴います。 ■事例 Aは、居住する区分マンションとは別に所有する建物を、期間を2年と定めて、 Bに賃貸する契約を締結しました。Aは、契約書に特約事項として「契約期間が 終了し賃貸人が本物件を必要と通知した時は賃借人は異議申し立てすることなく 無条件にて明け渡す」旨を定め、Bの承諾を得ました。 契約締結から2年が経ち、居住する区分マンションを第三者に売却する契約を締 結したAは、Bに賃貸していた建物を自己の居住用とするため、契約に定めた特 約を根拠に、Bに対してその明渡しを求めました。 ■問題 AのBに対する建物明渡請求は認められるか。 ■検討事項 1.借地借家法第26条 期間の定めのある賃貸借であっても、期間満了の1年前から6月前までの間に、賃 貸人が正当な事由に基づき賃借人に対して契約を更新しない旨の通知をしなけれ ば、契約は従前と同一の条件で更新されたものとみなされてしまいます。 本事例においても、AがBに対して正当な事由に基づき更新しない旨の通知をし ていなければ、契約は期間満了とともに期間の定めのない賃貸借として更新され ます。 2.借地借家法第28条 法定更新された賃貸借を終了させるには、賃貸人は自ら解約の申入れをする必要 があります。 しかし、賃借人に信頼関係を破壊する特段の事情がない場合、賃貸借解約の申入 れは、「建物賃貸人が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関す る従前の経過、建物の利用状況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として 又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出 をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合で なければ」することができません。そして、賃貸人からの解約申入れに基づき賃 貸借が終了するのは、解約申入れから6月を経過したときです(同法第27条)。 3.借地借家法第30条 AB間で合意して定めた本件特約事項は、借地借家法上の強行規定に反する特約 で賃借人に不利なものとして無効となります。 ただし、特約を定めた事情や経緯によっては、解約申入れの正当事由の有無の判 断に影響を及ぼすこともあります(東京高判昭和51年8月31日)。 当事務所では、賃料不払を理由とした賃貸借契約解除にかかる内容証明書の作成 から建物明渡訴訟まで一連の流れを一括してサポートするだけでなく、後のトラ ブルを回避するための契約書のリーガルチェックなども承っております。 ★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆★ 【3】あいうえお順で覚える!!法律用語 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「ま」抹消登記(まっしょうとうき) 抹消登記とは登記原因が無効だった場合や権利が消滅したときに、実体と合致さ せるためのものです。 例えば、一般的に住宅ローンを組むと抵当権が設定されます。 ローンが払えなくなったときは、銀行はその不動産を売却して返済に充てます よ、という約束のもと私たちはお金を借りています。 ですから、ローンを全て返済した際には、抵当権は不要になるので抹消登記を申 請することになります。 抹消登記は原則として登記義務者と登記権利者の共同申請になります。 上記の例ですと、銀行が登記義務者、登記権利者がローンを組んだ不動産所有者 になります。 申請書以外の添付書類はケースによってさまざまです。余裕を持って準備するこ とをおすすめします。 次回は「み」から始まる用語を解説します! ★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆★ 【4】ラジオ番組レポート! ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 関東・関西・九州のラジオ番組に当事務所所長の星野がコメンテーターとして 出演中です!毎週、相続、借金問題を中心に様々なお金の悩みの解決方法を お届けしています! ■番組『お金の知恵袋~星野さん教えて!~』 ◇文化放送 毎週日曜日:17:30~17:40 ◇RKB毎日放送 毎週日曜日:19:50~20:00 ■番組『お金の悩み110番』 ◇ラジオ日本 毎週金曜日:09:40頃~(10分番組) 毎週日曜日:16:50~17:00(※再放送) ◇KBS京都 毎週金曜日:17:30~17:40 ネットでラジオが聞ける「radiko」でも各番組が聴けます! ◆radiko http://radiko.jp/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■発行:星野合同事務所 https://hgo.jp/?mailmaga ■お問い合わせ close_up@hgo.jp 03-3270-9962 ■編集担当 阪口 ■購読登録・解除 https://j.blayn.jp/sm/p/f/tf.php?id=hgo ■バックナンバー https://hgo.jp/?mailmaga 掲載文章の無断転載を禁じます。情報内容には万全を期していますが、 これに基づき万が一損害が発生した場合には責任を負いかねます。 All Rights Reserved, Copyright (C) Hoshino Godo Office. ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆★