星野合同事務所

メルマガCLOSEUP(Vol.019 裁判所/新公益法人/お酒自由化/他人の登記/法律用語/今月のHP/ラジオ)

2009.01.30更新

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    CLOSE UP    VOL.19     星野合同事務所

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  【1】「訴えてやる!」さてどこに訴えればよい?
  【2】新公益法人制度 ~中間法人の代替
  【3】お酒の販売の自由化?
  【4】現実にない他人の建物が自分の土地上に登記されている場合
  【5】あいうえお順で覚える!!法律用語 「は」「ひ」
  【6】今月のホームページ注目記事
  【7】ラジオ「お金の悩み110番」レポート!!
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  【1】「訴えてやる!」さてどこに訴えればよい?
  ~裁判所の管轄(土地管轄)について~
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何らかのトラブルに巻き込まれ話し合いで決着がつかすに、ついに「訴えてや
る」と決断しました。しかし、果たしてどこの裁判所に訴えればいいのでしょ
う?

提訴先をどこの裁判所にすればよいのか、これが管轄の問題です。どこの裁判所
に管轄権があるのか、この点については、民事訴訟法という法律で、当事者の公
平や証拠の集めやすさなど様々な要素を考慮した上で決まっています。

管轄の問題の中で、どの地域の裁判所に訴えを起こせばいいのか、これを土地管
轄といいますが、土地管轄は、原則として被告の普通裁判籍の所在地を管轄する
裁判所にあるとされます(民事訴訟法第4条1項)。普通裁判籍とは、住所地の
ことだと考えてもらえばいいでしょう。つまり、訴えるなら相手方の住所地に出
向いて行えということなのです。
では、どうして、相手方の住所地なのでしょうか。

実は、土地管轄は、実務上、裁判の勝敗を決するような重大な問題なのです。

例えば、原告の住所地が東京、被告の住所地が福岡にあり、請求する金額が10
万円ほどだったとします。この場合、東京で訴訟を起こせたら、それだけで原告
の勝ちは確定したようなものです。被告は裁判の度に東京の裁判所まで出頭しな
ければならず(厳密に言うと、簡易裁判所の特例で出頭しなくてよいという扱い
はありますが、単純化するために、その話はおいておきます)、そのための交通
費だけで、費用倒れになってしまうからです。交通費を払うなら、10万円払っ
たほうが、被告は安上がりですよね。

このような事態が起こらないように被告の利益も考えて、訴える場合は原則とし
て、被告の住所地へという規定になっているのです。

その他、例えば不法行為(交通事故など)による損害賠償の訴えは、証拠の集め
やすさなどを考慮して、不法行為があった場所の裁判所にも管轄権があったりし
て、民事訴訟法には、事件の種類ごとに、どの裁判所に訴えればよいのかの規定
があるのです。

昔、この管轄の勉強をした際、一見、無味乾燥な法律の規定もよく考えられて作
られているなぁという印象をもったものでした。みなさんは、どんな感想をもち
ましたか?




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  【2】新公益法人制度 ~中間法人の代替
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平成20年12月1日一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年六月
二日法律第四十八号、以下「一般法」という)が施行されました。

前回のメルマガでは、一般法の施行と有限責任中間法人(以下「中間法人」とい
う)の一般社団への移行についてご案内させていただきましたが、今回はもう少
し突っ込んだところで、ファンドの器としての中間法人の代替手段として一般社
団を利用することについて簡単に述べさせていただきます。

中間法人と一般社団との共通点としては、「基金の拠出者と社員の地位が分離し
ている点」が挙げられます。一般社団の各社員は、定款に別段の定めがなければ
1個の社員総会の議決権を有します。また、一般社団に必要な資金は、通常、借
り入れ等または基金の拠出でまかないますが、基金はいわゆる外部負債であり社
員の地位と紐付けがされておりません。
つまり、お金は出すが口を出さない(出資はするが議決権はない)体制を作るこ
とが可能です。

このことは、流動化スキームで中間法人が利用されていた意義でもあります。流
動化スキームでは、SPCに倒産状態を発生させない措置がとられます。例えばSPC
の事業目的の限定(定款)、関係者から独立した役員選任等(一般的には中間法
人の社員・役員は独立した会計士等の第三者が多い)です。中間法人の制度設計
としては、基金の拠出者にの返還債権の処分禁止、破産申立等の禁止等です。な
お基金は、一般的に中間法人の管理費等に充てられます。

このようにSPCの株主や社員が流動化スキームに悪影響を与えないよう関係当事
者から独立したSPCとしてセットアップしなければならないことから中間法人を
SPCの親法人として採用されるようになりました。

中間法人と同じような特性をもつ一般社団法人は、上記のような流動化スキーム
で利用することが可能ではないかと考えられています(参考文献:藤瀬裕司
「一般社団法人制度の創設と資産流動化への影響」金融法務事情1768号16頁)。

当事務所では、中間法人から一般社団への移行登記やSPVのセットアップ等をは
じめ、各種会社・法人に関する相談を承っておりますのでお気軽にご相談くださ
い。

関連サイト:「社団・財団.JP」 http://shadan-zaidan.jp/ 


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  【3】お酒の販売の自由化?
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数年前に、お酒の販売が自由化されるということが、ニュースや新聞で話題とな
りました。平成18年のことだったのですが、ご記憶の方も多いと思います。し
かし、本当にお酒の販売は、誰でもできるようになったのでしょうか?

平成15年9月に、それまで人口によって酒類の小売店の数に上限を定める規制
が存在しましたが、これが一部地域において廃止され、平成18年9月には全面
的にこの参入規制が撤廃されました。このことにより、地域ごとに小売店は一定
の数に保たれていましたが、新たにそれまで免許を取得できなかったコンビニエ
ンスストアやドラッグストアが酒類の小売に参入できるようになりました。これ
が酒類の販売の自由化といわれました。

この自由化ということは、小売に参入する上限を撤廃したということで、酒類を
販売するためには免許を取得しなければならないことに、変化はありませんでし
た。
免許制が残った背景には、未成年者による飲酒を防止することと、酒税の確実な
徴収とその税負担の消費者への円滑な転嫁を確保するという点にあります。

酒税は、製造者等を納税義務者として、酒類が製造場から移出された時点で課さ
れることとされていますが、製造者が納税した酒税負担は、販売価格の原価を構
成することを通じて、最終的には消費者に転嫁されることが予定されている間接
税となります。このような酒税の性格からすると、酒類製造者にとっては、酒税
相当額を含む酒類販売代金が確実に回収されることが必要であることから、小売
店には、安定した経営を継続することが求められます。

そのため、酒類の販売には、免許制が取られ、現在でも酒類の販売を行うために
は、酒類販売業免許を取得する必要があり、その申請の際は、未成年者に対しい
かに飲酒の防止を図るか、収支見込はどの程度かというように詳細な申請書の作
成を求められます。

当事務所では、酒類小売業免許の取得についても、サポートさせていただいてお
りますので、新規に小売店を開設する、あるいは事業の拡大を図る等で、酒類小
売業免許の取得をお考えの際は、ぜひ当事務所にお声をおかけください。



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  【4】現実にない他人の建物が自分の土地上に登記されている場合
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現実に建物はないのに、自分の土地上に他人の建物登記が残っていることがあり
ます。日常土地を使用することに差し支えありませんが、売却や担保設定を検討
するなど、第三者との取引を想定すると、このまま放置しておくのは得策ではあ
りません。

他人の建物登記が残ってしまう理由の1つとして、土地の分合筆の際に、建物底
地番変更登記を怠っていることが考えられます。建物が古い底地番のままになっ
ているため、建物の底地に該当する土地に実際行ってみると、その土地の上には
建物がないということになります。建物が古い底地番のままになっているだけな
ので、登記された建物が、別の場所に現実に建っている可能性があります。

他人の建物登記が残ってしまう別の理由として、建物を取り壊したのに、建物滅
失登記を怠っていることも考えられます。

建物底地番変更登記、建物滅失登記のいずれも、建物登記名義人が申請人になり
ます。土地所有者は、建物登記名義人にこれらの登記を請求することができま
す。

土地所有者の請求にもかかわらず、建物登記名義人がこれらの登記をしない場合
は、登記官を通じて建物登記名義人に請求します。それでも建物登記名義人が登
記申請を拒否したり、建物登記名義人が行方不明で連絡がとれない場合には、最
終的に登記官に職権で登記してもらうことができます。

このような状態の土地をお持ちの方は、当事務所にご連絡いただければ、建物登
記名義人の探索、連絡などを代行させていただきます。気付いた時にこまめにケ
アすることにより、土地の資産価値を保全することができます。



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  【5】あいうえお順で覚える!!法律用語 「は」「ひ」
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(1)「は」はっこうかのうかぶしきそうすう〔発行可能株式総数〕

平成18年5月会社法施行により新たに使用されることになった言葉で、以前は
「授権資本枠」と呼ばれていました。会社が将来的に何株まで株式を発行するこ
とができるのかを定めています。

すべての株式に「譲渡制限の定め」の規定がある会社については上限は無制限で
す。 しかし、すべての株式に「譲渡制限の定め」がない会社は現在発行してい
る株式総数の4倍が上限となっています。新たな株式の発行(増資)により発行
している株式総数が「発行可能株式総数」を上回る場合は、併せて、「発行可能
株式総数」の変更が必要です。

現在ある有限会社は現在発行している株式総数と「発行可能株式総数」は同数の
ため、新たな株式の発行の際は必ず手続きが必要となります。



(2)「ひ」ひさいべんさい〔非債弁済〕

債務のないことを知っていながら、債務の弁済をすることを言います。

本来なら「不当利得返還請求ができる」ところですが、この場合は「返還請求が
できない」とされています。

債務がないことを知りながら、自ら支払い損失を招いた場合は、あたかも、プレ
ゼントしたようなものであるから、保護する必要はないという趣旨です。不当利
得として返還請求ができるのは、債務がないことを知らなかった場合に限られる
ことになります。

しかし、債務がないことを知っていた場合でも、脅迫されてやむを得ず支払った
ときや、強制執行を避けるためやむを得ず支払ったときは、適用すべきでないと
されています。



次回は、「ふ」「へ」で始まる用語を解説します!



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  【6】今月のホームページ注目記事
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→外国人雇用サポートページを新設しました

https://hgo.jp/?mailmaga



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  【7】ラジオ「お金の悩み110番」レポート!!
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毎週日曜日16:50~17:00 ラジオ日本にて
当事務所の番組「お金の悩み110番」が放送中です!!

■番組 『お金の悩み110番』
■日時 毎週日曜日16:50~17:00
     AM1422kHz/ラジオ日本

当事務所所長の星野がコメンテーターとして出演し、遺言相続、借金問題中心に
法律問題を解説しています。お時間のある方は、お聞きいただければ幸いです。



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