【CLOSE UP】 Vol.128 事業承継における種類株式と属人的株式の活用/上場会社株式の売買単位の統一について
2018.02.01更新
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CLOSE UP Vol.128 司法書士法人・行政書士法人 星野合同事務所
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★ INDEX
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【1】事業承継における種類株式と属人的株式の活用
【2】上場会社株式の売買単位の統一について
【3】あいうえお順で覚える!!法律用語
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【1】事業承継における種類株式と属人的株式の活用
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最近では事業を後継者に引き継ぐタイミングで、無議決権株式や拒否権付株式(黄金株)といった種類株式を導入する株式会社も増えてきています。
【無議決権株式の活用】
株式の多くを議決権がない株式とし、事前に後継者にそれらを取得させる。
自身の保有株式は少なくなりますが、議決権割合を高く維持することで経営の実権は握り続けることができます。
【拒否権付株式(黄金株)の活用】
自身が拒否権付株式を保有することで、基本的な経営の実権は後継者に譲りつつも、株主総会に付議された議案についての拒否権があることで影響力を残すことができます。
ただし、これらは種類株式であり登記事項となりますので、誰でも閲覧ができる登記簿謄本に記載されることになります。
従って取引先等が登記簿謄本を取得すればその種類株式の存在がわかってしまうため、後継者に実質的な決定権がないと思われてしまう場合があります。
【属人的株式の活用】
一方で、定款の規定により議決権を制限できるのが属人的株式となります。
その株式会社の発行する株式の全てに譲渡制限が付いていることや、属人株を設定するための決議要件等をクリアすることが必要ですが、登記簿謄本には記載されずに議決権を制限できます。
また、種類株式であれば、一度発行すると持ち主が変わってもその特性は存続し続けますが、属人的株式は名前の通り特定の人に属する定めであるため、持ち主が変わればその特性はなくなります。
このように、種類株式や属人的株式はそれぞれメリット・デメリットがありますが、上記以外の種類株式を組み合わせる等して、現状に合わせた対策を取ることができます。
そもそも後継者が見つからない場合は事業を売却するという選択肢もございますので、事業の売買に関してマッチングも行っております。
弊事務所では、事業承継に関する複合的なご相談も承っておりますので、お気軽にご相談ください。
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【2】上場会社株式の売買単位の統一について
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現在、日本における上場会社の株式の売買単位は100株と1000株の2種類がありますが、証券取引所はこれを100株に統一することを目標としております。
そして、売買単位は議決権の単位である単元株式数によりますので、現在、単元株式数を1000株としている上場会社はこれを100株に減少する必要があります。
なお、100株単位への移行期限は2018年10月1日とされています。
単元株式数を変更するためには会社法上次の手続きが必要となります。
①単元株式数の減少のみを行う場合
単元株式数の変更は定款変更に該当するため、株主総会の決議が必要となるのが原則ですが(会社法188条1項、466条)、単元株式数を減少する場合には株主総会の決議は不要で、取締役会の決議により行うことができます(195条1項)。
ただし、種類株式を発行している会社については種類株主総会の決議が必要になる場合がありますのでご注意下さい(322条1項1号)。
②単元株式数の減少と併せて株式併合を行う場合
投資単位の調整のため、単元株式数の減少と併せて株式併合を行うことが考えられますが、このような場合には、取締役会決議による単元株式数の減少に加えて、株式併合に係る手続として株主総会の特別決議を経る必要があります(180条2項、309条2項4号)。
また、①と同様に種類株式を発行している会社については株式併合にあたり種類株主総会の決議が必要になる場合があります(322条1項2号)。
以上のとおり株式併合を同時に行う場合には株主総会の開催にかかる時間を考慮して、移行期限に間に合うようにスケジュールを組む必要があります。
弊事務所では、上場会社からも数多くのご依頼を頂いております。何かございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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【3】あいうえお順で覚える!!法律用語
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「し」で始まる法律用語
【死亡保険金(しぼうほけん)】
被保険者が保険期間中に死亡した時に保険会社から保険金受取人に支払われる金銭です。
被保険者・保険料負担者(契約者)・保険金受取人の組み合わせによって、課税される税金が異なります。
≪例≫
●被保険者A・保険料負担者(契約者)A・保険金受取人B=相続税
●被保険者A・保険金負担者(契約者)B・保険金受取人B=所得税
●被保険者A・保険金負担者(契約者)B・保険金受取人C=贈与税
次回は「す」から始まる用語を解説します。
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