父の預金通帳と印鑑を保管していた長男が預金を勝手に使っていた
父の預金通帳と印鑑を保管していた長男が預金を勝手に使っていた
長男が故人と同居し、他の兄弟は離れたところで生活しており、財産に関しては長男にまかせきりという事例は多くみられます。
◆故人の療養・看護に使われていたとき
問題は生じません。
◆生前贈与であった場合
故人の承諾の下に預貯金が払い戻されているのであれば、生前贈与に該当するものとして、他の相続人はそれを特別受益として相続財産に組み入れるよう主張することができます。
◆不法行為、不当利得とみられる場合
長男が勝手に払戻し、私的に利用していたときは、不法行為としての損害賠償請求や不当利得(正当な権利なしに利益を受けている状態)としての返還請求の問題となります。
損害賠償請求する権利や返還請求する権利は、相続人の法定相続分に応じて相続されると考えられます。
分割協議をするうえで大きな問題となるようであれば、本来の遺産分割とは別個の問題として裁判所に損害賠償請求の訴訟を提起して解決すべき問題となります。
ポイント:通帳で金銭の入出金が確認できない場合は、取引明細表を取得して残高の変動状況を調査しましょう。