星野合同事務所

相続税の申告・納付

相続税とは

相続税は、相続や遺贈など人の死亡を原因として財産を取得した個人に課される税金です。

相続税は、相続税法という法律が定められており、①相続、②遺贈、③死因贈与、④相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得したものに相続税が課されることになります。しかし、相続税は全ての相続人が支払わなければならないものではなく、遺産総額が一定額を超える人のみ支払えばよいのです。

その金額はいくらかというと、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)になります。

例えば、法定相続人が3名なら3,000万円+(600万円×3)=4,800万円までは非課税となります。
更に、配偶者には、相続税軽減措置というものがあり、法定相続分(その額より1億6,000万円の方が大きい場合には1億6,000万円)までは非課税となります。

他にも、未成年者控除、障害者控除、相次相続控除というものもあります。

◆未成年者控除
10万円に18歳になるまでの年数を掛けた額が税額から控除されるものです。例えば、子供が10歳であれば、18歳-10歳=8なので、10×8で80万円が税額から控除されます。
◆障害者控除
相続人が障害者であるときに、85歳に達するまでの1年につき10万円(特別障害者は20万円)の金額が税金から控除されます。
◆相次相続控除
10年以内に2回以上相続があった場合、最初の相続の相続税の一部を2回目の相続の相続税から控除することが出来ます。このような税額控除の結果、相続税を支払わなくてもよくなる場合があります。

申告期限と罰則

相続税を申告する必要のある人は、故人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内に故人の住んでいる場所の所轄税務署に申告する必要があります。この申告に基づいて、相続税を原則として金銭で、所轄税務署か、銀行等の金融機関で納付します。相続税については連帯納付の義務があり、他の相続人が相続税を支払わなかったら、そのほかの相続人が代わりに支払わなければならなくなります。

申告をしないと、税務署から決定の通知があり、徴収額に対して15%の無申告加算税が課せられます。また、決定前ではあるが申告が期限後である場合には、その申告が決定のあることを予知してなされたものでなければ10%の加算税が課せられます。また、申告漏れがあった場合には修正申告を、逆に相続税を納めすぎてしまっていた場合には更正の請求を行います。

ポイント
  • 相続税のうち3,000万円+(600万円×法定相続人の数)までは非課税
  • 故人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内に相続税の申告をする

相続税の対象となる財産

相続税の対象となる財産は以下の通りです。

  • 宅地
  • 家屋
  • 農地・山林
  • 借地権
  • 貸宅地・貸家建付地
  • 生命保険金・生命保険契約に関する権利
  • 個人年金
  • 株式
  • 公社債
  • ゴルフ会員権
  • 書画・骨董品
  • その他(預貯金・自動車・債権など)
  • 現金(その額のまま評価)

みなし相続財産

故人の財産でないにも関わらず、相続財産として相続税が課されます。このような財産を「みなし相続財産」といいます。

◆故人が死亡する前の3年間で贈与された財産
故人が死亡する直前3年以内に相続人に財産を贈与した場合は相続税の課税対象になる
◆生命保険金
生命保険金の保険料を被相続人が負担していた場合は、受取金の一部が相続税の課税対象になる。
※ 死亡保険金の非課税金額(500万円×法定相続人の数)
◆死亡退職金
被相続人の死亡後3年以内に支給が確定した死亡退職金は、受取金の一部が相続税の課税対象になる。
※ 死亡退職金の非課税金額(500万円×法定相続人の数)
◆弔慰金
もともと弔慰金は非課税だが、世間一般の常識的金額※を超える場合は、その超えた部分は相続税の課税対象になる。
※ 業務上の死亡の場合は普通給与の3年分、業務上の死亡ではない場合は普通給与の半年分。

非課税財産

次のように初めから相続税がかからないというような財産もあります。

  1. 墓地や仏壇など日常的に礼拝しているもの
  2. 宗教・慈善などの公益を目的とする事業を行う者がそのために使うことが確実なもの
  3. 相続人が取得した生命保険金の一定の金額(500万円×法定相続人の数=非課税)
    ※相続人以外の者が受け取ると全額課税対象
  4. 相続人が取得した死亡退職金の一定の金額(500万円×法定相続人の数=非課税)
  5. 国や地方公共団体などの寄付した財産
  6. 心身障害者扶養共済制度に基づいて支給される給付金を受け取る権利

相続税が支払えない場合

相続税が高額なため一度に支払えないような場合には、支払期限を延期してもらう申請(延納申請)をすることができます。
そのほか、一定の条件をクリアすることによって分割で納付(分割納入)できる場合もあります。

その人の相続税額が10万円を超え、金銭納付が困難である相当な理由があるときは、相続税額相当の担保を提供することで延納が認められる場合があります。
ただし、延納税額が100万円未満で、かつ延納期間が3年以下の場合には、担保を提供する必要はありません。

また、担保提供関係書類を延納申請期限までに提出することができない場合には、担保提供関係書類提出期限延長届出書を提出することにより、1回につき3ヶ月を限度として、最長6ヶ月まで担保提供関係書類の提出期限を延長してもらうことが出来ます。

このほかにも、相続財産の中から下記に記載する金銭以外の現物で支払う物納という方法もあります。

  1. 国債及び地方債
  2. 不動産・船舶
  3. 社債及び株式
  4. 動産
ポイント
  • 相続税が一括で払えないときは、支払期限を延期したり、分割で納付できる場合がある。
  • 支払期限を延期するときは担保が必要なことがある。