住宅購入の際に援助を受けた長男と何もしてもらってない自分の相続分が同じなのはおかしい
住宅購入の際援助を受けた長男と、何もしてもらってない自分の相続分が同じなのはおかしい
故人の生前に故人から特別の恩恵を受けていた場合には、その恩恵を受けた人は財産を前倒しで譲り受けたものと扱われ、相続する財産から恩恵を受けた分を引いたものを相続することになります。
これを特別受益といい、例えば長男が住宅を建てるときにその頭金を援助してもらったような事情がある場合、長男の本来の相続分から援助を受けた金額を差し引いたものが長男の相続分になります。
その他にも次のような場合には、特別受益にあたると考えられます。
- ◆結婚するときに持参金や高額の嫁入り道具を持たせてもらった。
- ◆留学していた。
- ◆事業を始めるときに資金提供を受けた。
- ◆土地や建物を譲り受けた。
特定の子だけが小遣いを多くもらった、結納金や挙式費用を出してもらった(名古屋高裁金沢支部決定平成3年11月22日)という場合は特別受益には当たらないとされています。
相続人になる前に贈与を受けていた場合
養子縁組をする前に養子となる人に対してした贈与や、婚姻前に配偶者となる人に対して行った贈与は特別受益にあたるとされているため、相続財産を計算するときは贈与された財産額を含めなくてはならないとされています。
亡くなった祖父が孫や娘の旦那さんに贈与していた場合
相続人の親族であるが相続人ではない人への贈与は、一般的には相続財産の計算のときに考慮しなくてもよいとされています。
しかし、贈与の経緯・価値・性質等により故人から相続人が直接贈与されたのと同視できる場合には、特別受益として相続財産に含められた例があります(福島家白川支審昭和55年5月24日)。
相続人の1人が生命保険金・死亡退職金・遺族給付を受け取った場合
原則として、生命保険金・死亡退職金・遺族給付によって受けた額は相続財産に含める必要はありません。
しかし、相続は公平性を重視した制度であるため、同居していたか、故人の介護に貢献したか等の生活実態を考慮して、あまりにも不公平が生じると考えられるときには特別受益にあたるとした判例があります(最高裁平成16年10月29日判決)。