星野合同事務所

葬儀の準備

遺体の安置

遺体の搬送先では北枕か西枕にして安置します。

宗派によっては守り刀としてふとんの上に刃物を置きます。
守り刀は武士の死者がその枕頭に刀を置いた名残ともいわれますが、一般には遺体の死臭をかいでそれをねらう悪鬼を防ぐ為に行われた風習です。

死装束を着せる

納棺に先立ち、死後硬直が始まる二時間以内に故人の衣類を着替えさせます。
死装束は故人を浄土へ旅する僧侶や巡礼になぞらえたもので、経帷子を左前にして着せ、手甲や足袋などをつけます。
頭陀袋には六文銭を入れて三途の川の渡し賃をもたせてあげましょう。

経帷子は、葬儀社が準備してくれます。
近年では浴衣や愛用していた服やドレスを着せることが多くなったようです。

なお、浄土真宗ではもともと経帷子を着せることはありませんでした。
浄土真宗では死後すぐに極楽浄土にいけるとされているからです。

神式やキリスト教式では特に衣服は決められていません。

喪主・葬儀委員長の決定

喪主は葬儀の最高責任者であり、一般的には故人の配偶者がつとめ、配偶者がいなければ同姓の子がつとめます。
喪主は遺体が安置されたら親族に訃報を伝えましょう。
葬儀が始まったら喪主は基本的にひたすら弔問客への挨拶をし、弔問客の出迎えや見送りはしません。

葬儀委員長は地元の自治会長や、亡くなった方が会社の現役であったならば会社関係のしかるべき人に頼まれたほうがよいでしょう。

葬儀全体の事は葬儀社の人に任せます。

喪主と施主のちがい

喪主は葬儀を執行する当主のこと、施主は法事又は葬儀などを行う責任者のこと。
通常は喪主イコール施主となりますが、縁者がいないため友人などが喪主役をつとめる場合は施主といい、また社葬の場合会社が施主、喪主は遺族になります。

宗教・宗派の確認

国内では仏式が主ですが、故人が無宗教の場合は生家や婚家の宗教に従って行うこともあります。
日本での主な宗教の葬儀のおおまかな流れは次のとおりです。

◆仏式

通夜 ⇒ 葬儀・告別式 ⇒ 初七日法要

◆神式

通夜祭り ⇒ 葬場祭 ⇒ 火葬祭 ⇒ 帰家祭

◆キリスト教

通夜の集い ⇒ 葬儀ミサ ⇒ 祈り・聖歌合唱 ⇒ 祈り

◆家族葬

身近な人だけで行う。
首都圏では約50%が家族葬だといわれ、家族葬にする場合は親族に事前に同意を得ておくのが無難。
周囲には家族葬である旨伝えれば納得してもらえる。

◆直 葬

とにかくお金をかけずに火葬のみ行う。

◆一日葬

通夜を行わない。

◆密 葬

秘密裏に葬儀を行い、そのあと生きている人たちの好意で偲ぶ会が催されることが多い。
また、近年無宗教葬というものも増えており、祭壇には神も仏もなく故人の生前の写真が飾られているというもので、その演出方法も実に多様。

◆音楽葬

故人にちなんだものを花祭壇にあしらい、お経の代わりに故人が好きだった音楽をかける。

◆樹木葬

墓地として認可された場所に遺骨や骨壷を埋め、墓石のかわりに樹木を植える。

◆地球葬

いわゆる散骨。
山や海、空に散骨。クルーザーやセスナ機でおこなう。
※散骨を禁止する地域もあり、そこで散骨すると死体遺棄罪に問われる可能性もありますが、近年の葬儀に対する多様性に対応し法務省は節度をもって行われる限り違法性はない、と散骨に対し寛容な姿勢を示しています。

葬儀規模の決定

予算を決定します。
故人の社会的な地位、交際範囲、喪主の社会的地位も考慮に入れて決定しましょう。

日取りの決定

葬儀の司式者である僧侶・神父や火葬場と遠方の親族の都合によって決めますが、一般的に葬儀社が友引から逆算して葬儀・告別式の提案をしてくれます。
年末や正月早々の不幸のときは、三箇日があけた日にしましょう。
友引の日は休む火葬場もあります。

日程・場所が決まったら親族や知人に案内しましょう。
また、当日の受付や会計を頼みたい場合には別途その旨をお願いしましょう。

菩提寺(檀那寺)に連絡

葬儀までに宗教・宗派を確認し、仏式の場合であれば葬儀は菩提寺(檀那寺)の住職に依頼します。
戒名を依頼する場合、このときにするのもいいでしょう。
菩提寺が遠方である場合または菩提寺がない場合は、同じ宗派の近くの寺院を葬儀社等に紹介してもらいます。
菩提寺がわからないときは、親族の方に確認します。

菩提寺に連絡を取らずに葬儀を済ませると、住職さんがへそを曲げて「墓に入れない」という事態も起こりかねないので気をつけましょう。

祭壇の決定

祭壇は多くの葬儀社でグレードが設けており、金額に差が生じやすいところです。

世話役への依頼

喪主は弔問を受けるのに忙しいため、代わりに通夜・葬儀の指揮をとる裏方(=世話役)が必要です。
世話役は、その役割ごとに複数人で分担して行います。

◆世話役代表

葬儀全体の企画・運営・進行を担当します。
葬儀の知識・経験が豊富で信頼できる人に頼みましょう。
親戚や友人、勤務先の人、隣近所の人などがなります。

◆会計係

世話役のなかでも特に重要な係です。異なる立場の2名以上の方にお願いするとよいでしょう。
現金の出し入れのすべてを担当し、具体的には香典の管理、現金の出納・生産、出納帳の記入などを行います。

葬儀費用は相続税の対象とはなりませんので、忘れずに領収書をもらうようにしましょう。
もちろん相場から外れた金額は調査を受け、認められないこともあるので気をつけましょう。

◆受付係

弔問客の受付を行います。
具体的には記帳簿の整理、香典・供え物の受け取りなどです。
勤務先の同僚などに頼みます。

◆進行係

喪主や葬儀社と打合せ、通夜・葬儀の司会進行・弔電の整理・弔辞の依頼などを行います。

◆接待係・台所係

通夜ぶるまいや精進落としのときに弔問客、寺の僧侶、お手伝いの人や葬儀社の人などの食事や飲み物の手配、お茶などの世話をします。
親戚や隣近所の女性に頼みましょう。

◆車両係・交通係

僧侶の送迎車や火葬場へのマイクロバスの手配、駐車場の手配や確保を担当します。
勤務先の男性に頼むことが多いようです。

葬儀費用の把握

早い段階で把握するに越したことはありません。
葬儀の形態が多様化しており、地域や亡くなったときの年齢によっても異なりますが、全体的に葬儀は年々小規模化の傾向にあります。

小規模家族葬の60万円台から一般参列者80名程度の一般葬300万円台と価格幅は広く設定されています。
価格の幅が生じる項目としては、祭壇、棺、湯灌、葬儀社への企画料・人件費、祭具用品などが挙げられます。

専門のインターネットサイトを利用するのも有効です。
葬儀をする地域や葬儀の形態、参列者などを入力すると提携する葬儀社数社から見積りを出してくれるサイトもあります。

親族・知人・関係先に連絡

日程・場所が決まったら親族や知人に案内しましょう。
当日、受付や会計を頼みたい場合には別途その旨をお願いしましょう。

一人ずつ連絡するのは大変なので、親しい人に連絡して、そこから次へ連絡してもらうようにします。
会社の上司やお世話になった人などには、直接自分で連絡するようにしましょう。

死亡通知の書き方

 1.句読点は省略
 2.内容は亡くなった人、葬儀の日時・場所にとどめ、死亡原因には触れない
 3.薄墨で書く