星野合同事務所

母は認知症だが、遺産分割はどうやってするの?

母は認知症だが、遺産分割はどうやってするの?

認知症により物事を判断する能力が低くなっている場合、遺産分割協議の話し合いで正しい判断が出来ずに不利な条件で話し合いを進められてしまう可能性があります。

相続人の中に認知症の方がいるときは、その方に代わって話し合いに参加する成年後見人を立てることになり、既に成年後見人が選任されている場合はその成年後見人が代わりに遺産分割協議を行います。

成年後見人

◆制度の趣旨

記憶力などに障害がある高齢者、知的障害者、精神障害者など判断する能力が不十分となった人を保護するための制度です。
判断する能力が不十分な相続人が参加した遺産分割協議は「取り消すことができるもの」となり、いつまでも不安定な状態が続くことになってしまいます。

そこで、判断する能力が不十分な相続人に代わって、本人の利益を尊重しながら協議に参加する人を家庭裁判所に選んでもらいます。

◆選任方法

家庭裁判所に対し成年後見人の選任の申立をします。

◆申立することができる人

申立をすることができるのは、本人(一時的に判断する能力を取り戻している場合など)、配偶者、4親等内の親族(4親等の親族=いとこ等)、未成年後見人、検察官です。

◆申立先

本人の住んでいる住所地を管轄する家庭裁判所

後見開始の申立の必要書類

※一例となります。

  1. 後見開始申立書
  2. 申立人の戸籍謄本
  3. (利害関係人からの申立ての場合)利害関係を証する資料(戸籍謄本《全部事項証明書》等)
  4. 本人の戸籍謄本と戸籍の附票・成年後見登記事項証明書・診断書
  5. 成年後見人候補者の戸籍謄本・住民票・身分証明書・成年後見登記事項証明書
  6. 収入印紙800円+連絡用の郵便切手+登記印紙4,000円
    (郵便切手については申立てする家庭裁判所へ総額と内訳を確認する必要があります。)

※後見開始の審判をするには、本人の精神の状況について鑑定をしなければならない場合があり、申立人がこの鑑定に要する費用を負担する場合があります。

ポイント:成年後見人は、遺産分割協議だけでなく、財産管理やさまざまな契約等を本人(成年費被後見人)に代わって行うことができます。
※日用品の購入や、その他日常生活と切り離せないような行為(電車に乗るために切符を買う等)については、本人の判断に委ねられ、成年後見人でも取り消すことは出来ません。