遺言代用信託について
2015.02.16更新
遺言代用信託について
自分の人生の全うの仕方を自分で決める「終活」の一つとして遺言代用信託の利用が増えています。
遺言でしかできないようなことを、信託を活用して生前に信託契約で実現するのが遺言代用信託です。本人(委託者)と信託銀行等(受託者)との間で信託契約を締結し、信託銀行等は本人が死亡した場合、指定した人(受益者)に指定した方法で指定したお金を渡すというものです。
これは、遺言と同様の結果を相続手続とは異なる方法で実現しようとするもので、通常の相続手続とは異なり遺産分割協議などを行うことなく相続人等信託契約で指定された者(受益者)は遺言代用信託で信託されている財産を簡便に受け取ることができるものです。
相続時によくあるような被相続人の口座が凍結されてしまい、葬儀費用などの費用の引き出しに困るということもなく必要なお金を受益者は引き出すことが出来るわけです。
また、遺言代用信託ではお金の受け取り方を選べる点も便利です。通常、「自分用(定時定額)」「家族用(一時金)」「家族用(定時定額)」を自由に組み合わせることができます。
具定例として委託者が2,000万円を信託し、委託者が「自分用」として自己の受取額を1,500万円に設定し、死亡時に遺族が受け取る一時金を200万円、遺族が継続的に受け取る生活資金を300万円とした場合を考えると、委託者が年金の支給されない月に1,500万円から月15万円を受け取るとして生活費に使うことができます。
自分の死亡時に葬式費用として200万を遺族が受け取り、その後配偶者が月々5万円を受け取るなど細かく設定することが可能となります。
さらに、後継ぎ遺贈型の遺言信託も可能です。後継ぎ遺贈型というのは自分の死後、配偶者に年金形式で月々財産を渡し、配偶者が死亡した後は自分の家業を継いだ子供に渡すというものです。
この際の受益者は信託契約の当時現存する者だけでなく、胎児でもよく、さらに胎児でもなく将来生まれてくるであろう子でも可能とされています。遺言では、次世代までしか財産の行き先を決めることはできませんが、遺言代用信託であれば2世代先まで財産の行き先を指定することが可能です。