星野合同事務所

検証:事業所内保育施設は、経費の無駄か?

2010.10.29更新

検証:事業所内保育施設は、経費の無駄か?

近年の職場環境

平成22年3月30日付の日本経済新聞で、全国の事業所内保育施設が3766施設となったことが報じられました。このうち最多の300施設を占めるのが東京都だそうです。
働く女性・育児に参加する男性が増加の傾向にある今、事業所内保育施設の設置を検討する企業は少なくありません。
そこで、今回は、事業所内保育施設の設置について、事業主にとっての不安要素と、保育施設設置のメリットをそれぞれ検討してみたいと思います。

事業主側の不安の声

  • 保育士の人件費や施設の設置費用が、事業を圧迫するのではないかと思うとなかなか踏み切れない。
  • 保育施設の管理を自社で行なう自信がなく、かといって、管理会社に頼めるほど予算に余裕があるわけではない。
  • 事業所内保育施設を設置しても、継続的な利用があるのだろうかと考えると不安になる。

事業所内保育施設を設けることのメリット

  • 離職率の低下により、人材育成コストを抑えることができる。
  • 企業のイメージアップ、他社との差別化により、優秀な人材の確保につながる。
  • 国等の助成金・補助金制度により、事業所内保育施設の設置・運営費の負担を減らせる場合がある。

助成金をもらって事業所内保育施設を設置してみませんか?

事業所内保育保育施設を設置したいと思っても、金銭面の不安が拭えなければ、最初の一歩を踏み出すことはできません。
以下では、厚生労働省による事業所内保育施設設置・運営等助成金についてご紹介させていただきます。融資と違って返済の必要がなく安心して利用できる助成金制度を、事業所内保育施設設置をご検討の際に是非とも参考にしていただけたらと思います。

事業所内保育施設設置・運営等助成金の概要

助成金額
  助成率等 助成限度額
設置費 中小企業3分の2
大企業2分の1
2,300万円
増築費 2分の1 増築 1,150万円
※5人以上の定員増を伴う増築、体調不良児のための安静室等の整備
建替え 2,300万円
※5人以上の定員増を伴う建替え
運営費 中小企業3分の2 通常型 施設の現員に応じ最高699万6千円(466万4千円)
(3分の1) 時間延長型 施設の現員に応じ最高951万6千円(634万4千円)
大企業2分の1 深夜延長型 施設の現員に応じ最高1,014万6千円(676万4千円)
(3分の1) 体調不調児対応型 上記それぞれの型の運営に係る額+165万円(110万円)
保育遊具等購入費 自己負担金10万円を控除した額 40万円
※1品の単価が1万円以上、総額20万円以上の場合

※( )は、6~10年目の助成率及び助成限度額を表示しています。
※設置費、運営費及び保育遊具等購入費の助成は、1事業主につき1施設に限られます。

助成の対象となる保育施設とは

1)施設の設置場所
継続的利用が見込まれ、①事業所の敷地内、②事業所の近接地、③労働者の通勤経路(駅ビル等)、④労働者の居住地の近接地(社宅、団地等)のいずれかに設置していること。

2)施設の規模
乳幼児の定員が10人以上であり、1人あたりの面積が原則として7㎡以上であること。 建物が合築等の場合は、玄関、廊下等の共用部分のスペースは持分に応じて積算し、室内の規模に加算することができる。

3)施設の構造・設備
①乳児室、保育室、調理室及び便所を備えていること。
②乳児室の面積は、1人あたり1.65㎡以上、保育室の面積は、1人あたり1.98㎡以上であること。
③乳児室は、保育室と区画されていること。
④乳児室及び保育室は、採光及び換気が確保されていること。
⑤便所には手洗設備があり、乳児室、保育室及び調理室と区画されていること。
⑥便所の数は、おおむね幼児20人につき1つ以上あること。
⑦消化用具、非常口、その他非常火災に必要な設備が設けられていること。

4)運営について
以下のような決まりがあります。
①常時2名以上の専任の保育士の配置。
②医療機関との協力体制の確保。
③(体調不調児対応型運営を行なう場合は)専任の看護師1人以上の配置。

5)施設の利用条件について
①利用者は、原則として、その雇用する従業員又はその他の雇用保険の被保険者である従業員ですが、定員の半数以下に限り、それ以外の一般の利用者を認めることは差し支えありません。※雇用する従業員の利用がない月の運営費については助成金支給の対象外になります。
②雇用する従業員の利用条件に就業形態、雇用形態、職種等による制限を設けないこと。
③0歳から小学校就学の始期に達するまでの子について利用できるものであること。
④保育料は、保育内容に照らし、地域の他の施設に比べて著しく高額でないこと。

なお、詳細は、下記にてご確認いただけます。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/19a.pdf

助成金受給までの流れ(事業所内保育施設設置の場合)

事前相談→事業所内保育施設設置計画の認定申請→建築工事に着工→事業所内保育施設の運営開始→助成金支給申請→助成金支給決定→ 成金の振込み

当事務所のサポート内容

就業規則の見直しから、助成金・補助金制度の選択・絞込み、助成金受給のための必要書類の作成、認可外保育施設開設の届出まで、全面サポートさせていただきます。

事業所内保育施設の設置だけじゃない!!
ワークライフバランスの実現に向けた助成金あれこれ

事業所内保育施設の設置が、必ずしも職場環境の改善につながるとは限りません。重要なは、より良い職場環境の整備に向け、事業主と従業員が一緒になって考えることではないでしょうか。
以下では、ワークライフバランス(仕事と家庭の両立)の実現に向けた補助金・助成金の一部をご紹介致します。

東京都福祉保健局『事業所内保育施設支援事業補助金』

平成19年4月1日から平成25年3月31日までに東京都内に設置した事業所内保育施設を対象とした補助金で、1事業主につき1施設に限るという制限がないので、都内に複数の事業所内保育施設を設置する事業主にとっては嬉しい制度です。 また、補助金支給の対象事業主として、貸しビル事業主や保育事業者も含まれています。 詳細は、下記をご参照ください。
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kodomo/hoiku/jigyousyonai/index.html

財団法人21世紀職業財団『育児・介護雇用安定等助成金』代替要員コース

育児休業終了後、育児休業取得者を原職又は原職相当職に復帰させる旨の取扱いを労働協約又は就業規則に規定し、育児休業取得者の代替要員を確保し、かつ、育児休業取得者を原職等に復帰させた事業主に、一定額が助成されます。
http://www.jiwe.or.jp/ryoritsu/01_assist1.html

財団法人21世紀職業財団『育児・介護雇用安定等助成金』休業中能力アップコース

育児休業者又は介護休業者がスムーズに職場復帰できるよう、職場適応性や職業能力の維持回復を図る措置(職場復帰プログラム)を実施した事業主・事業団体に支給されます。
http://www.jiwe.or.jp/ryoritsu/01_assist2.html

財団法人21世紀職業財団『育児・介護雇用安定等助成金』

子育て期の短時間勤務支援コース
小学校就学前(小規模事業主は3歳)までの子を養育する労働者が利用できる短時間勤務制度を労働協約又は就業規則に規定し、労働者がこれらの制度を連続して6か月以上利用した場合に、事業主に支給されます。
http://www.jiwe.or.jp/ryoritsu/01_assist3.html

財団法人21世紀職業財団『育児・介護雇用安定等助成金』

育児・介護費用等補助コース 労働者が、育児又は家族の介護に係るサービスを利用する際に、それに要した費用の全部又は一部を補助する制度を労働協約又は就業規則に規定し、実際に費用補助を行った事業主及び育児又は介護に係るサービスを行うものと契約し、そのサービスを労働者に利用させた事業主に対して、事業主が負担した額の一定割合が助成されます。
http://www.jiwe.or.jp/ryoritsu/01_assist5.html

東京都福生市『認可外保育所利用者補助金』

東京都福生市在住で、認可外保育施設を利用する方の保育料の一部を補助する制度です。
http://www.city.fussa.tokyo.jp/health/child/nursery/nursery03/88vtda0000003j5m.html

東京都日野市『認可外保育施設利用児童保護者補助金』

東京都日野市在住で、認可外保育施設を利用する方に、児童1人につき月額2万円の補助をする制度です。
http://www.city.hino.lg.jp/index.cfm/183,1260,189,1360,html