入院していた病院から高額の医療費を請求されたけど払わなきゃいけないの?
入院していた病院から高額の医療費を請求されたけど払わなきゃいけないの?
病室に空きがないなど、病院側の都合で個室や特別室に入れられたのに差額ベッド(特別療養環境室のこと)代を後日請求されることがあります。
差額ベッド代は保険がきかないため非常に高額になりますが、多くの場合に差額ベッド代は支払う必要がありません。
厚生労働省保険局医療課長(保医発第0328001号)から出ている通達によると、
病院が差額ベッド代を請求できるのは、「患者への充分な情報提供を行い、患者の自由な選択と同意に基づいて行われ」た場合です。
特別療養環境室のベッド数や、場所、料金を患者にわかりやすいように受付窓口や待合室などに掲示することも義務付けられています。
差額ベッド代を請求してはならない場合も明記されています。
①同意書による同意の確認を行っていない場合
同意書にサインをもらっていても、室料の記載がなかったり内容が不十分であれば、同意の確認を行ったことにはなりません。
②治療上の必要により個室や特別室に入った場合
いびきがうるさい、認知症であるといっただけでは治療上の必要があるとはいえません。
例えば下記のような事情がある場合には、治療上必要と判断されることがあります。
- 救急患者、術後患者等であって、病状が重篤なため安静を必要とする者、又は常時監視を要し、適時適切な看護及び介助を必要とする者
- 免疫力が低下し、感染症に罹患するおそれのある患者
- 集中治療の実施、著しい身体的・精神的苦痛を緩和する必要のある終末期の患者
- 後天性免疫不全症候群の病原体に感染している患者
(患者が通常の個室よりも特別の設備の整った個室への入室を特に希望した場合を除く) - クロイツフェルト・ヤコブ病の患者
(患者が通常の個室よりも特別の設備の整った個室への入室を特に希望した場合を除く)
③病棟管理の必要性等から特別療養環境室に入院させた場合であって、実質的に患者の選択によらない場合
例えば、感染の原因菌であるMRSAに感染している患者を、院内感染防止のために本人の選択によらずに特別療養環境室に入院させた場合などです。
しかし、病院の医者や職員もこの規定があることを知らないというのが実態です。
患者側できちんと主張しましょう。
ポイント:差額ベッド代を支払わなくてもいい場合
- ・同意書に署名がない、室料の記載がない、設備構造の説明がない等の説明義務違反にあたるとき
- ・治療上の必要があって個室等に入る場合
- ・院内感染防止のため