遺産分割協議がまとまらないがどうすればいい?
遺産分割協議がまとまらないがどうすればいい?
故人が不動産・株式・預貯金等の財産を残して亡くなった場合に、誰がどの財産を相続するかということが問題になってきます。
預貯金のように単純に割り切れるものであればよいですが、不動産などは誰が所有するのか、誰が住むのかについてなかなか話し合いが進まない場合もあります。
◆話し合いによる分割
分割協議は各相続人の生活状況や職業・年齢・健康状態などあらゆる事情を考慮して進める必要があり、主に次の3パターンによることとなります。
①現物分割
「花子は大宮のマンション、慶多は世田谷の土地、慶子とめめきちは横浜の土地を2分の1ずつ」
「花子と慶多は世田谷の土地を別紙図面の通り分筆して南側半分は花子、北側半分は慶多が相続する」
「花子は大宮のマンションと世田谷の土地、慶多と慶子は○○銀行の預金を2分の1ずつ」
というように、遺産をそのままの形で分割する方法です。
②代償分割
「慶子は不動産を全て相続する。慶子は、花子・慶多・めめきちに対し、これらの者が遺産を取得しない代償として各人に1000万円ずつ支払う」
というように、一部または全部の財産を取得した相続人に、他の相続人の不足分の代償を債務として負担させる分割方法です。
慶子が各人に対してすぐに1000万円ずつ支払えない場合は、分割払いや慶子が相続した不動産に抵当権を設定して代償金を借り入れたりすると良いでしょう。
③換価分割
「相続財産中の不動産すべてを売却し、その売却代金を法定相続分に従い取得する」
という分割方法です。 主に調停手続や審判において、現物分割や代償分割が困難な場合に採られる方法ですが、売却代金を配分するという点で公平感を保ちやすいという利点があります。
上記はいずれにしても相続人全員が合意をしないと成り立たないものですから、誰か一人でも納得がいかない人が出れば、遺産分割協議は進まなくなってしまいます。
そのような場合には家庭裁判所の調停や審判で調停委員や家事審判官という第三者を間に挟んで解決するという方法があります。
◆調停分割
家庭裁判所の調停によって遺産分割を行います。
調停では、調停委員や家事審判官が相続人の話し合いを仲介し、全員が納得する分割案をまとめるための手助けをしてくれます。
◆審判分割
家庭裁判所の審判によって遺産分割を行います。
家庭裁判所では遺産に含まれる物や権利の種類と権利の性質、各相続人の年齢・職業・心身の状態・生活の状況などを考慮して分割を行います。
通常は調停の手続きがうまくいかなかった場合の次の手段として行われます。
- ・遺産分割協議は相続人全員の同意があって初めて成立します。
- ・各相続人の年齢・職業・健康状態・生活状況などあらゆる事情を考慮して分割協議をしなければなりません。
- ・話し合いができない、まとまらないというときは裁判所の協力を得て分割することができます。
- ・「調停」によって話し合いがまとまらないときに「審判」に移行する場合がほとんどです。