星野合同事務所

メルマガCLOSEUP(Vol.029 秘密保持契約/総量規制/法律用語/今月のHP/ラジオ)

2009.11.30更新

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    CLOSE UP    VOL.29     星野合同事務所

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  【1】秘密保持契約について
  【2】改正貸金業法の総量規制について
  【3】あいうえお順で覚える!!法律用語
  【4】今月のホームページ注目記事
  【5】ラジオ「お金の悩み110番」レポート!!東京・京都で放送中!
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  【1】秘密保持契約について
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企業間取引が活発となっている昨今、取引の検討や契約交渉などの場面において
秘密保持契約書(Non-Disclosure Agreement(NDA)またはConfidential 
Agreement(CA)といい、以下では「NDA」とします)を締結する機会が多くなっ
てきました。

NDAとは当事者間において提供される情報を秘密として取り扱うことを約するた
めに締結する契約です。不正競争防止法では、不正競争に対して差止請求
(第3条)や損害賠償請求(第4条)が認められていますが、その保護対象が
「営業秘密」に限られています。よって、対象が「営業秘密」に該当するかどう
かが争われるところですが、NDA を締結せずに提供された情報は「営業秘密」と
認められないリスクが大きく、また、NDAにおいて差止請求や損害賠償請求を規
定することで、情報漏洩に対する救済手段を明記しておくことが安全かつ円滑な
情報共有につながります。

NDAの締結が必要となる場面として、大別すると以下の2つに分類できます。

1つは、M&Aや事業提携の契約交渉開始の場面です。交渉中に当事者の経営上
の重要な情報を提供し合うことが想定され、かつ交渉の結果、契約締結に至らな
い可能性もあるため、交渉開始前にあらかじめ当該情報を秘密として取り扱う旨
約束をすることが重要となります。この点、一方的に情報開示を受ける場合に
は、相互捺印の契約書方式でなく、差し入れ方式のNDAを相手方に提出すること
も、円滑な取引にあたっては有用と考えます。

もう1つは共同開発契約やフランチャイズ契約を締結する場面です。これらは契
約の履行過程で技術や経営ノウハウ等の秘密情報が提供されることを予定してお
り、知的財産法との関連においても、事前にNDAを締結することが不可欠となり
ます。

今回は最近増えているM&Aの場面を想定し、前者の場合に言及して以下記述して
いきます。

NDAの締結に当たり最も重要となるのは、対象となる秘密情報の定義です。情報
を開示する側においては、「開示された一切の情報」が秘密情報であるとして保
護の範囲を拡大することが考えられます。一方、開示を受ける側として範囲を縮
小したい場合には、「書面で秘密情報である旨の明示があるものに限り、口頭で
開示された場合には一定期間内にその内容を書面にして秘密情報である旨の明示
をした場合に限り秘密情報として取り扱う」旨の規定をおくことで秘密情報とな
る対象を限定することができます。この場合、当規定に基づく情報の取り扱いが
当事者間において実際的であるか検討しておく必要があります。

次に、いかなる目的で情報提供するのかという点(締結目的の確定)も重要で
す。この目的如何により開示要求される又は要求できる情報の幅が決まるため、
開示する側としては、あらゆる情報の提供を要求されないよう、交渉開示時点で
明確な目的が未定の場合でも、「~に係る検討」「~の成就の可能性についての
調査」といった包括的かつ拘束力の弱い文言を用いて、企図する着地点を見据え
許容範囲を限定した内容で記載することが有用です。更に開示する情報の範囲を
限定したい場合には、「もっぱら自己の判断に基づき、自己が必要かつ有益と判
断する情報のみを他方当事者に提供するものとする」旨を規定することで、情報
提供段階において個別に判断することが考えられます。一方、開示を受ける側の
立場で、要求する情報に制限を設けたくない場合には、「関連する一切の情報」
と明記することで幅広い情報収集が可能となります。

また、提供された情報の利用者の範囲について、情報利用者として当事者の役員
及び従業員を規定することが一般的ですが、開示する立場において、範囲を限定
したい場合には、「当該利用者について事前に届け出る」旨を盛り込み、相手方
の利用者を把握することができます。更に開示情報の複写及び複製をするにあた
り、開示者の承認を要する旨規定しておくことも可能です。

最後に、各当事者において、情報を相手方以外の第三者に開示できる場合の項目
を、NDAに規定することが必要です。第三者への開示規定として必要な事項とし
ては、次のものがあります。

ⅰ)裁判手続き又は刑事事件捜査における開示
民事裁判での開示請求、例えば、文書提出命令(民事訴訟法第223条)を受けた
場合、裁判所へ開示しなければなりません。また、刑事事件における捜索差押令
状(刑事訴訟法第218条)に対しては開示しなければならないほか、捜査関係事項
照会(刑事訴訟法第197条第2項)を受けた場合にも、開示することがありますの
で、法令に基づき司法当局等からの要請に基づき開示する場合の規定などをNDA
に置く必要があります。

ⅱ)上場会社におけるディスクロージャー
上場会社においては、「重要事実」(金融商品取引法第166条)に該当した事項
は、タイムリーディスクロージャーを行わなければなりません。臨時報告書(金
融商品取引法第24条の5)による開示や証券取引所の適時開示制度による開示が
必要な場合がありますので、上場会社が係わるNDAには、これらに関する規定を
置く必要があります。

NDAには、秘密情報の定義、利用目的、取扱いに関する規定、情報漏洩した場合
の救済手段の規定、契約終了後の秘密情報の取扱い、秘密保持期間等、注意すべ
き項目が多くあり、また当事者の立場によってその内容を慎重に検討することが
必要となってきます。これらは必ずしも定型化されたものではなく、上述のとお
り、より取引の実態に即した規定を設けることも可能です。弊事務所ではお客様
のニーズに適した契約書をご提案すべくご相談を承っており、NDAの作成も行っ
ておりますので是非ご利用ください。




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  【2】改正貸金業法の総量規制について
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多重債務問題の抜本的解決のため、平成18年12月の国会において貸金業法が改正
され、現在段階的な施行がされております。そこで今回、当該改正の目玉の一つ
である「総量規制」について簡単にご説明いたします。

総量規制とは、借主の総借入残高が年収の3分の1を超えている場合、貸金業者
は借主に対して新たな貸付が原則できない仕組みのことをいいます。具体的には
貸金業者は借主に年収を明らかにする書類の提出を求めたり、指定信用情報機関
が保有する個人情報から残高を調べたりして、返済能力の調査を行います。そし
てその調査の結果、借入残高が年収の3分の1を超える等、返済能力を超えると
判断された場合には、原則、貸金業者は新たな貸付をすることができなくなりま
す。このように貸金業者に対して貸付を規制することで、多重債務者の増加の抑
止となることを目的としています。

なお、この借入残高の対象となる貸付とは、貸金業法が適用される貸金業者の無
担保ローンについてのみであり、銀行のローンや割賦販売法が適用されるショッ
ピングについては対象外となります(ただし改正割賦販売法により、ショッピン
グについても「過剰な与信枠の防止」という事実上の総量規制の実施が予定され
ています)。

また、年収の3分の1を超える場合でも例外として返済能力があると判断した上
で貸付ができる場合があります。例えば緊急の医療費に必要な貸付や顧客に一方
的有利となる借り換え等です。

この総量規制については、個人事業主の資金繰りに悪影響を及ぼしかねないとい
う懸念により、金融庁でも検討に入るという報道がされておりますが、金融担当
大臣は法改正を伴う見直しは行わない考えであるようです。様々な価値観や立場
から、この総量規制についての見方や意見がありますが、皆さんはどのように思
われるでしょうか。



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  【3】あいうえお順で覚える!!法律用語
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「わ」わかい〔和解〕

和解とは、当事者が互いに譲歩して、その間に存在する争いをやめる合意をする
ことを言います(民法第695条)。この和解は、諾成・有償・双務契約の形態
ですが、売買などのように当事者間に新たな法律関係を創ることを目的とするも
のではなく、すでに存在している法律関係に関する争いを確定することを目的と
する特殊な契約です。

日常生活において、和解と似た意味として「示談」という言葉を耳にしますが、
示談が必ずしも和解の要件を満たしているとは言えません。なぜなら、民法上の
和解は、互いに譲歩することを求めており、当事者の一方が全面的に譲歩する示
談は、和解とは言えないのです。



今月で50音が一周しました!!
次回からはまた「あ」から始まる用語を解説します!



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  【4】今月のホームページ注目記事
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→  永住許可申請ページを新設しました
→  One Company One Hundred Tree はじめます

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当事務所所長の星野がコメンテーターとして出演し、遺言相続、借金問題中心に
法律問題を解説しています。お時間のある方は、お聞きいただければ幸いです。



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