星野合同事務所

【CLOSE UP】 Vol.123 外国人が当事者となる不動産売買契約書の印紙税の取扱い/出生届が出されなかった無戸籍について

2017.08.31更新

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  CLOSE UP  Vol.123  司法書士法人・行政書士法人 星野合同事務所

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇2017/8/31◇━━


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★ INDEX
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  【1】外国人が当事者となる不動産売買契約書の印紙税の取扱い
  【2】出生届が出されなかった無戸籍について
  【3】あいうえお順で覚える!!法律用語
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【1】外国人が当事者となる不動産売買契約書の印紙税の取扱い
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外国人、外国法人が不動産売買の当事者となる場合、売買契約書の印紙税の取扱
いはどのようになるのでしょうか?

印紙税法は日本の国内法ですので、日本国外で契約書が作成された場合、印紙税
は課税されません。たとえ、国内でその契約書に基づく権利の行使が行われると
しても、また国内でその契約書が保管されるとしても、印紙税は課税されません
(印紙税法基本通達第49条)。
他方、日本国内で契約書が作成された場合、当事者が外国人、外国法人であって
も、印紙税は課税されるということになります。

では「契約書を作成する」とは、具体的にどのようなことをいうのでしょうか?

印紙税法においては、契約内容について、当事者の意思が合致したことの証とし
て、当事者双方が署名押印したときに契約書が作成されたことになります。


例)契約当事者A(日本在住日本人)、B(外国在住外国人)の場合

1)Bが契約書2通に署名した上で、Aに郵送し、
日本に住むAがこれに署名押印した上で、うち1通をBに返送したとき
  
⇒日本国内でAB双方の署名が揃った(=契約書が作成された)ので、印紙税は
課税されます。


2)Aが契約書2通に署名押印したうえで、Bに郵送し、
外国に住むBがこれに署名したうえで、うち1通をAに返送したとき

⇒日本国外でAB双方の署名が揃った(=契約書が作成された)ので、印紙税は
課税されません。この場合、契約書上に契約書の作成場所を明記するなどして、
日本国外で契約書が作成されたことを明らかにしておく必要があります。


今回のケースにおいて、印紙税の課税判断は、どこで当事者双方の署名押印がさ
れたか。ということがポイントとなります。



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【2】出生届が出されなかった無戸籍について
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「無戸籍」という言葉をご存知でしょうか。人は出生すると、出生届を親または
届出人の本籍地である市区町村に提出します。その手続きによって、出生当時の
父母の戸籍に入り初めて戸籍が作成されます。この手続きをされないまま、現在
でも戸籍が無いことを無戸籍といいます。


1)現在の状況
2014年以降の法務省の調査で1,403人いることが確認され、701人が今年7月10日
時点で無戸籍のままであることがわかりました(うち132人は成人)。民間の支
援団体調査では、推定1万人以上いるとの指摘もあります。


2)無戸籍であるとどのようなことが起きるか
戸籍は、人の出生から死亡までの親族関係などを示し日本国籍の証明、住民票の
取得、パスポート発行等の本人確認の証明となります。これらを取得出来ないと
以下のことが出来きません。

①本人名義での契約行為
部屋を借りること、携帯電話を持つこと、銀行口座を作ること。

②教育・社会
教育を受けること、資格を取得すること、社会保険や民間保険への加入。つまり
、戸籍等の書類が日本においては、全ての生活の基礎となります。


3)なぜ、無戸籍となるか
無戸籍の7割は、離婚後の母親が出生届を出さなかったケースです。
これは、民法772条が大きく関係しています。

民法772条【嫡出の推定】
①妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
②婚姻成立の日から200日を経過した後または婚姻の解消若しくは、取消しの日
から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。

つまり、婚姻の解消=離婚となると、離婚後300日以内に生まれた子を、元夫の
子とするとされていて、元夫が父親で無い場合に出生届を出さないことが多いの
です。夫以外の子を妊娠し出産した場合や、夫のDVにより出産したもののシェル
ターに入っている場合などが上記にあたります。
例え、離婚していても、離婚後300日以内の推定が働くため、母親の戸籍にのみ
入ることはできない。これが、無戸籍となる原因であります。


4)無戸籍からの救済処置と手続きの負担
法務省は2007年、上記のような推定でも、離婚後の妊娠と医師が証明すれば元夫
を父親としない出生届を認めるよう各自治体に通知しました。しかし、このほと
んどが、離婚前の妊娠とされ、通知の救済対象から漏れている事例も多いのです
。他の手続きでは、裁判手続きで元夫と父子関係がないことの確認や、血縁上の
父との父子関係を確認した上で戸籍を取得する方法があります。

しかし、裁判の手続きとなると金銭面や煩雑な手続きによって負担を感じ無戸籍
を放置してしまうケースが多いのです。これらを解消するには、DNA鑑定書や一
定の書類があれば、裁判手続きを取らず再婚した夫の子(離婚前に懐胎した子の
父親)として出生届を認める特例法の制定や、DVによるシェルターで生活し、現
夫に所在を知らせず、出生届を出す方法など無戸籍にならないような対策が必要
となります。


5)現在、無戸籍を解消する手続き
法務省や市区町村等自治体へお問合せください。
弁護士会でもご案内しています。まずは、ご相談ください。


法務省 http://www.moj.go.jp/MINJI/minji04_00047.html
参 考 平成29年8月20日読売新聞1面、法務省案内、条文等



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【3】あいうえお順で覚える!!法律用語
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「き」で始まる法律用語

【期限の利益(きげんのりえき)】

期限の利益とは、期限が存在しながら未だ到来しないことによって当事者の受け
る権利をいいます。つまり、期限が到来するまでは債務の履行を請求されたり、
義務を負ったり、権利を失ったりしないということです。期限の利益はいつでも
自由に放棄することができますが、当事者双方にこの利益が存する場合には相手
方の損害を填補する必要があります。
また、一定の事実が発生すると法律上当然に期限の利益を失うこともあるので注
意が必要です。


次回は「く」から始まる用語を解説します。



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