星野合同事務所

【CLOSE UP】 Vol.126 新信託法改正の注意点/TMKスキーム「特定目的会社」について

2017.11.30更新

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  CLOSE UP  Vol.126  司法書士法人・行政書士法人 星野合同事務所

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇2017/11/30◇━━


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★ INDEX
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  【1】新信託法改正の注意点
  【2】TMKスキーム「特定目的会社」について
  【3】あいうえお順で覚える!!法律用語
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【1】新信託法改正の注意点
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昨今、不動産取引において信託受益権の売買により現物を移転せずに、受益権の
みの移転をすることがよく行われています。不動産を信託受益権化することで、
不動産流通税及び登録免許税を軽減することができるため、高額の不動産取引で
受益権化スキームを利用するメリットは大きいのでしょう。

ただ、平成18年に信託法が大きく改正され、改正後の判例等が蓄積されていな
いこともあってか、各方面で新信託法の解釈が確立されていないのが現状です。

そこで、今回、これから受益権売買において表面化するであろう論点についてお
話しします。

まず、受益権売買があった場合、受益者の変更登記を行わなければいけません。
しかし、世間一般的な(すべての信託がそうだというわけではない)信託だと、
もう一つ行うべきことがあります。何でしょうか?

それは、委託者の変更登記です。

なぜ、受益権の売買で委託者の変更までしなければならないのか?それは、ほと
んどの信託契約では、受益権が移転すると委託者の地位も承継されると契約上規
定されているためです。

旧信託法では、委託者変更登記をする必要はない(できない)と理解されていま
したが、逆に、新信託法の解釈では委託者変更登記をすべきにもかかわらず、い
まだに委託者変更登記を無視して受益者変更の登記のみがなされており、元の委
託者がずっと信託目録に載っているケースがほとんどなのです。

では、委託者変更をせずに、不利益を被る場合とは、どんなときしょうか?
それは信託終了・現物化の場合です。

信託法上は、「委託者と受託者」の合意解除は規定があるものの、「受益者と受
託者」との間の合意解除ができる旨の規定はありません。ところが、旧信託法に
従う信託契約の場合、委託者変更登記ができない、かつ、多くの場合に受益権の
移転と共に委託者の地位の承継があるという規定があったため、現在の受益者=
委託者であろうという考えで、「受益者と受託者」の合意解除による信託終了の
登記が許されてきました。

しかし、新信託法に基づく信託では、委託者変更登記が可能なため、委託者を変
更しない場合には、信託目録記載の受益者を現在の委託者であると判断できない
ので、信託終了の前提として委託者変更を要求する法務局が増えるものと予測さ
れます。

詳しくは、弊事務所までお問い合わせください。



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【2】TMKスキーム「特定目的会社」について
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不動産投資にご興味のある方の中には、「特定目的会社(TMK)」という言葉を
耳にされる機会があるかと思います。今回、不動産ファンドの仕組みの中から
「TMKスキーム」について簡単に解説します。

◇1◇「特定目的会社(TMK)」とは
特定目的会社とは「資産の流動化に関する法律(以下、同法という。)」に基づ
き設立される法人で、同法に基づく「業務開始届出」を金融庁に行って初めて、
業務を開始することができます。また、TMKスキームとは不動産保有者(売主)
が資産(保有不動産)を、投資家資金を用いて売却することで資金調達するため
の仕組みとして考案されました。

1)特定目的会社の機関
・社員総会
資産流動化法に規定する事項及び特定目的会社の組織、運営、管理その他特定目
的会社に関する一切の事項について決議をすることができ(同法第51条第2項)、
株式会社の株主総会に準じるもの。
・1名以上の取締役(同法第67条第1項第1号)
・1名以上の監査役(同法第67条第1項第2号)
・一定の場合に会計監査人(同法第67条第1項第3号)

2)社員の種類
・特定社員(設立時に発起人として払込みを行った者。特定出資の最低額は10万
円。)
・優先出資社員(特定社員と比較し、配当の支払いや残余財産において優先する
社員。)


◇2◇不動産ファンドの器(ビークル)としての主な役割

1)不動産の小口化
通常、不動産は一棟で少なくとも数億円に達することから、投資家が少額で不動
産投資をするため、投資家が出資持分に応じた小口化された不動産の持分を保有
し、その持ち分に応じた不動産の収益をそのまま受け取れるような効果が得られ
ことが必要であり、その仕組みを実現するため、投資家の出資金を受け入れ、そ
の資金を用いて取得した不動産を保有する“器”が必要となります。この器は、
投資目的だけのためだけに用いられ、会社形態である場合には、
「SPC:Special Purpose Company」と呼ばれます。TMKもSPCの一形態です。

2)倒産隔離
不動産ファンドでは、投資家は器を通して不動産からの収益を受け取ります。し
たがって、器が自らの意志や関係者の意向で勝手な行動をし、倒産するなどして
投資家が不動産から享受すべき収益を受け取れないような事態を防ぐため、以下
のような様々な規制を設けています。

①資産流動化計画及びその附帯業務のほか、他の業務を営むことができない。
(同法195条1項)
②特定目的会社は、合名会社又は合資会社の無限責任社員になれない。
(同法195条第2項)
③資金の借入れに関する制限
(同法211条、213条、214条等)


◇3◇「TMKスキーム」のメリット・デメリット

<メリット>
①一定の要件下で誰でも投資家を募集できる
特定目的会社が発行する優先出資証券は、一定の期間を決めて監督庁から許可を
得れば、金融商品取引業としての登録をせずに、投資家を募集することができま
す。
②投資できる財産や財産権の豊富さ
ほとんどの資産や財産権に投資することができます。不動産信託受益権に限られ
ず、債権や現物不動産を取得資産とすることが可能です。
③不動産や債権に関する税金が安い
不動産取得税や不動産の登録免許税、指名債権の取得における質権や抵当権の登
録免許税などが安くなっています。また、一定の要件の元、パススルー課税が実
現できます。

<デメリット>
①開始するまで2カ月程度かかる
特定目的会社の設立から始まり、業務開始届出書とそれに添付する資産流動化計
画を作成して監督庁に提出し、許可を受けるまで標準で2カ月程度かかります。
また、通常の株式会社の発起設立と異なり、出資金の払込金保管証明書の添付が
設立登記手続時に必要となり、若干時間を要します。
②資産流動化計画によって制約を受ける。
③専門家のコストがかかる。


弊事務所では、TMKをはじめSPCのお手続きを専門家の立場からお手伝いさせて頂
いております。また、株式会社、合同会社はもちろんのこと、各種法人のお手続
きに関してもご相談を承っております。



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【3】あいうえお順で覚える!!法律用語
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「こ」で始まる法律用語

【公証人(こうしょうにん)】

公証人とは、国の公務である公証事務を担う公務員です。判事・検事・弁護士・
司法書士などを務めた法律実務の経験豊かな方で、公募によって選出、法務大臣
が任命しています。
国民の権利義務に関係し、私的紛争の予防の実現を目指す業務が多く、強制執行
が可能である公正証書の作成等も含まれるため、司法書士や弁護士とは一線を画
す、中立・公正な立場です。

具体的な業務は、主に「公正証書の作成」と「認証」です。
「公正証書」は、トラブルを未然に防ぐため作成されます。土地・建物の賃貸借
契約、売買契約、金銭消費貸借契約、離婚の際の支払契約、任意後見契約、遺言
など多岐にわたります。

「公正証書」には、強制執行もやむを得ないという条項を入れることによって、
債務者が約束どおり支払わなかった場合には、裁判無しで財産を差し押さえ、取
り立て弁済にあてることができる執行力が与えられており、大変強い効力をもっ
ています。
「認証」は、株式会社を新しく作る際の定款の認証、委任状や契約書等の文書を
その人が間違いなく作成したことの認証などをおこないます。

「公正証書」・「認証」によって、権利義務関係についての明確な証拠を残すこ
ととなり、紛争の発生を未然に防止することができます。また、極めて高い証拠
力となるので、裁判になっても立証に苦労がいりません。
公証人は全国に約500名、執務する事務所である公証役場は全国約300箇所
あります。


次回は「さ」から始まる用語を解説します。



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