星野合同事務所

【CLOSE UP】 Vol.125 医療法人法の改正について/所有者不明の不動産

2017.10.31更新

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  CLOSE UP  Vol.125  司法書士法人・行政書士法人 星野合同事務所

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇2017/10/31◇━━


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★ INDEX
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  【1】医療法人法の改正について
  【2】所有者不明の不動産
  【3】あいうえお順で覚える!!法律用語
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【1】医療法人法の改正について
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近時、医療法人法が改正され、今後も予定されておりますが、今回は特に実務的
に影響がある改正についてのポイントをご紹介いたします。


≪ポイント≫

①医療法人の経営の透明性の確保
医療法人とMS法人との関係の都道府県知事への報告義務化や、一定規模以上の医
療法人に会計基準の適用を義務づけるとともに、公認会計士等による外部監査が
義務付けられました。

②医療法人のガバナンスの強化
これまで医療法人は、株式会社などと違い、組織や機関に関する法の規定が少な
かったのですが、改正により理事の忠実義務、任務懈怠時の損害賠償責任、理事
会の設置、社員総会の決議による役員の選任等について、権限や役員の選任方法
等が規定されました。また、医療法人と理事との利益相反取引については、各都
道府県知事への特別代理人の選任申請が不要となり、代わりに、理事会における
重要事案の開示と、理事会による承認と報告が義務付けられたことも大きなポイ
ントと言えます。

③医療法人の分割等に関する事項
医療法人の分割に関する規定が整備され、基本的には会社法に規定されている分
割とほぼ同じく、吸収分割や新設分割ができるようになりました。(※)
(※)ただし社会医療法人、特定医療法人、持分の定めのある医療法人等は分割
はできません。

④収益事業を行うための社会医療法人認定の柔軟化
病院は本来、非営利でなければなりませんが、一定の要件を満たせばその収益を
経営に充てることを目的として事業を行う事が可能です。その要件のうち緊急医
療確保事業という要件については、都道府県単位で考慮されていましたが、今回
の改正により、都道府県をまたいで事業を行った場合、条件が合えば、「一体的
に行われているもの」として考慮してくれるようになりました。

⑤地域医療連携推進制度の創設
地域医療連携推進法人とは一定の区域内(医療連携推進区域)において、業務の
連携を推進する目的で研修や物資、資金を分配する目的の法人のことを言います
。今回の改正で、ある地域の病院を統括する法人を作り、その法人を中心として
、病院同士で病床数や設備、人員を融通し、役割を分担することにより、医療が
より効率的に提供される体制が確保されることが期待されています。



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【2】所有者不明の不動産
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「この法律は、不動産の表示及び不動産に関する権利を公示するための登記に関
する制度について定めることにより、国民の権利の保全を図り、もって取引の安
全と円滑に資することを目的とする。」

これは、不動産登記法の第1条(目的)に掲げられた条文です。この理念のもと
、不動産の権利者(所有者)は登記により公示されており、土地や建物の所有者
が誰であるかを調べるには、まずは登記情報を確認することになります。そして
、建物を購入したり土地を相続したりと、不動産を新たに取得したときには、司
法書士等の専門家に依頼して、あるいはご自身で自ら登記申請を行い、所有者の
情報を更新していきます。これらの手続が滞りなく行われれば、不動産の所有者
は登記記録によって常に明らかになります。

しかし、現実には所有者不明の不動産というものもあり、ある推計ではそのよう
な土地が日本全国で約2割ほどもあると言われています。不動産の所有者が不明
となる原因のうち大きなものとして、相続登記がされていない、ということがあ
ります。不動産の権利の移転登記は義務ではなく任意のため、山林などで利用価
値の低い土地だったり、遠方の土地で相続人が使う予定がなかったりして、あえ
て名義を移す必要性がないとして相続の登記をしないケース。または、建物とそ
の底地については相続登記をしたものの、前面の私道部分にも共有持分があるこ
とを見落としてしまい、相続登記がされないまま放置されるといったケース。相
続登記をしないまま放置され、さらに次世代以降の相続が発生していくと、関係
者はねずみ算式に増えていき、誰が相続人であるかを把握することができなくな
り、所有者不明の不動産となってしまいます。

遺言の作成などを機にご自身の財産の調査を行った結果、そのように何世代も前
の名義のまま放置されている不動産が発見されることがあります。その所有者が
誰であるかを確定させるには、各世代の相続人を全て調査し、関係する全ての当
事者と連絡を取り、その全員で遺産分割協議を行うなど、大変な時間・手間・費
用を要し、現実的には非常に困難です。

そのような問題を次世代以降の方々に残さないためにも、相続登記はきちんと行
い、またそのような不動産が見つかった場合には早めに対処して問題を解消して
おくことをお勧めいたします。



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【3】あいうえお順で覚える!!法律用語
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「け」で始まる法律用語

【限定承認(げんていしょうにん)】

限定承認とは、相続人が遺産を相続する際「プラスの財産の範囲内でマイナスの
財産を引き継ぐ」という制度です。限定承認を申請するには、相続の開始があっ
たことを知った時から3ヶ月以内に被相続人の住所地の家庭裁判所に、相続人全
員で申述する必要があります(民法923条、民法924条)。 

この制度が有効なのは、
①マイナスの財産(借金)がプラスの財産より明らかに多い
②わかっていない借金が残っている可能性がある
といった相続人の方々です。単純承認とは異なり、すべての借金を肩代わりする
必要はなくなります。

しかし、この制度にもデメリットがあります。
主に、
①相続人全員で申述しなければならない(民法923条)
②すべての資産を相続人に時価で譲渡したものとみなされ、相続人が譲渡所得税
を納めなければならない(所得税法第59条)。
という点が挙げられます。

①は、相続放棄と異なり、自分だけ申述することが出来ないということです。相
続人の中に難色を示す人がいる場合制度は利用できません。②の譲渡取得税は、
譲渡価格(この場合「相続開始日の時価」)から取得費、譲渡費用を差し引いた
額に課税される税金のことです。この譲渡取得税が発生するものとして、時価が
上がったとみられる、古くから所有している不動産などが挙げられます。
 
メリット・デメリットを見極めて、上手に制度を活用しましょう。


次回は「こ」から始まる用語を解説します。



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